ゆかい、ふかかい、なにこの世界!?
「ぺったらこ ぺったらこ もちつき はねつき うんのつき……」
意味があるようでないようなヘンテコで愉快な『ぽんちうた』は、イラストレーターの死後くんがわらべ歌にヒントを得て作った絵本だ。2020年に制作した、絵に詩をつけたカレンダーがもとになっているという。
「基本は絵が先で言葉が後。何にも縛られず自由に好きな絵を描いてから言葉を考えています。頭の中の、絵にしたら面白いんじゃないかというイメージに少しずついろんな要素を描き足していって、不思議な世界観が徐々に作られていく感じですね。子どもが開いた時、先に絵を見て、なにこれ、変じゃない?どういうこと!?と思ってもらえたらいいなというのもありました」
柏餅におじいさんが挟まっていたり、菱餅と鏡餅にスイカがのっていたり、はたまた床からお尻が飛び出したりという不可解な世界にわらべ歌風の言葉が添えられる。
「"ちゃーころりん"とか"ずーぼんぼん"みたいなひょうきんなワードや、ダジャレやラップのような言葉遊びを取り入れて、口ずさんで気持ちのいい、奇妙で面白い歌を考えました。労働の単調さを紛らわしてくれる田植え歌や、痛いの痛いの飛んでいけみたいに、状況をそのままメロディに乗せるだけで、歌はツラさみたいなものを楽しく変えてくれたりする。
絵本には道徳的な部分が求められたりするところもありますが、そうした教育的な側面などをなるべく打ち出さないように、そういうところから自由でいたいなと。絵にしても言葉の内容にしても、ルールも正解もない世界だから、逆に自分もこれでいいのか不安になりながら描きました(笑)」
そして、意味があるようでない不思議な絵本が生まれた。「自由に歌いながら読んでほしい」と死後くん。「ぽんちうた」が現代のわらべ歌として受け継がれていったなら、世の中もう少し平和になりそうだ。