新進気鋭のデザイナーが
リソグラフと向き合った
青山希望
このアートブックは、「こころのかたち」を「まる」と定義して描いた色鉛筆のシリーズをまとめたもので、束見本に手描きした本が原作になっています。
装丁をしてくれた加納大輔くんが友人で、雑誌『NEUTRAL COLORS』を出版している同名の版元の加藤直徳さんも作品を気に入ってくださり自分の作品としては初めて出版社を通して発表することになりました。
リソグラフは出版社からの提案でしたが、私もリソ独特の色味が好きでリソでの出版を決めました。
脇田あすか
事前に本の構造を聞いてはいたけれど、実物を見たら想像以上でした!
のんちゃんはリソの印刷がズレることを心配していたみたいだけど、「まる」で描いたこころのかたちはピシッとしているより少しブレている方が似合うし、私はいいズレだなと思いました。
展覧会の時に原画と並べて見ることができたのも面白かった。印刷と原画、それぞれ色も違うし、別の良さがあったね。加納くんの装丁も新鮮だったし。
青山
絵を生かす、静かだけど強いデザインが気に入っています。自分だったら真っ白の表紙はやらなかったかも。
脇田
中の作品の色自体も特別ではないけど、色の組み合わせが絶妙でそれが作品を素敵なものに引き上げている気がします。
青山
今回、リソの特徴を生かそうと、原画の色に近づけるために版を調整するようなことを一切していないんです。原画ではただの黒い線が、リソで4色表現された黒になることで面白い発色になったのも予想外で良かった。間に挟んだ紙は違う色の場合を見せたくて入れました。
脇田
色が転んでも成り立つ作品っていうのも珍しいなぁと。手に取ってめくってみないとわからない、アートブックならではの作品になっていますよね。
青山
アートブックって誰でも楽しめる世界。その裾野を広げる一手になれば嬉しいです。