漫画、小説、ルポ、実用書に創作術の本も読む雑食系
『SPY×FAMILY』『チェンソーマン』をはじめ数々のヒット作を世に放ち、漫画家からも漫画読みからも絶大な信頼を集める林士平さん。「電子版が出ている本はKindleで購入するのが基本のスタイル」と語る、徹底した電子書籍派の本棚はどうなっている?
「KindleはMacで管理。読書にはKindle OasisとPaperwhite、iPhone、漫画は見開きで読みたいのでiPadも併用しています。気になる本、人に薦められた本は片っ端から購入して、漫画、人文書、アート、創作資料、すぐ読みたいフォルダなどに分類しているのですが、あれ、未分類のものだけで1万8,000冊以上ありますね」
引っ越しを重ねるたびに本を減らし、現在リアルな本棚に並ぶのは担当作品、電子化されていない書籍やアートブックなど。そんな精鋭から、仕事に役立てている本を紹介してもらった。
「連載時のアオリやキャッチを考えるのも大事な仕事なので、言葉の幅を広げるために詩集や歌集、歌詞集を読んでいます。同世代で最も広く言葉を届けた人だと思っている、宇多田ヒカルさんの歌詞集『宇多田ヒカルの言葉』がイチオシです。学生時代、『広告批評』で衝撃を受けた特集が書籍化された『広告20世紀』は、漫画の扉やポスターを作るときに役立っています」
『藤子・F・不二雄の発想術』『ハリウッド・リライティング・バイブル』は、漫画家たちに並走する名編集者ならではのセレクトだ。
「作家との打ち合わせでは同じことばかり言わずにいろいろな刺激を与えたい。そんなときにF先生から発想のヒントをもらったり、『ハリウッド・リライティング・バイブル』をぼーっと眺めたり。『Vision ストーリーを伝える:色、光、構図』のように、これまで10冊以上購入して、作家たちに渡している本もあります」
連載中の担当作だけで6作を数え、アニメ化やグッズ制作などにも関わる多忙な日々。
「仕事の量が尋常じゃない!となったときにワークフローの管理手法が書かれたGTD®の本を何冊も読み、『はじめてのGTD ストレスフリーの整理術』は改訂版が出て買い直しました。もはや人生の指針の一つになっています」