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書を携えて町へ、世界へ!今すぐ歩きたくなる本16選

とにかく歩きたいという方に、さらに歩きたくなるような本をセレクト。書を捨てるのではなく時には携えて、先人たちの足跡を辿ったり憧れを抱くのも面白い。町へ、世界へ行ってみよう。


初出:BRUTUS No.753「歩こう。」(2013年4月15日発売)

text: Keiko Kamijo, Kosuke Ide

「歩く旅こそ人生」。いざ自然へ

『ロングトレイルという冒険』
加藤則芳/「歩くスピードでしか観ることのできない自然の機微をなめるように味わい、歩いてしか得られない風景展開を楽しんできた」という加藤が、ソローやジョン・ミューアら先人たちの言葉を引きながらロングトレイルの魅力を伝える。なぜ人は自然に向かうのか、旅心に火をつけられる一冊。技術評論社

これから長い旅に出る人へ

『ふらり。』
谷口ジロー/「一歩一歩 あせらずとも 正確にあるいてゆけば いつかはたどりつく」。一人の隠居した男が江戸の町をふらりふらりと歩きながら、鳥やアリや猫の目線を携え、空へ地面へ屋根の上へと行く。しばらく読めば、この男は測量学者の伊能忠敬だということがわかる。日本一周踏破の旅への心構えに。講談社

1,200㎞のお遍路を巡る旅

『四国お遍路バックパッキング』
ホーボージュン、BE−PAL編集部、茶山浩/厳選された道具を背中に背負い、輪袈裟(わげさ)と金剛杖と菅笠を携えて、いざお遍路へ。アウトドアライターのホーボージュンが歩行日数50日をかけて88ヵ所の霊場を巡るガイド。寺や道の説明はもとより、歩き方やギアの紹介もされていて重宝しそうな一冊。小学館

歩かなければ死ぬ、男たちの記

『脱出記 シベリアからインドまで歩いた男たち』
スラヴォミール・ラウイッツ著/海津正彦訳/第二次世界大戦のさなかシベリアにある第三〇三強制収容所から7人の男が脱出した。ポーランド陸軍騎兵隊中尉である著者と6人の仲間は、厳寒のシベリアを抜け出し南へと向かう。男たちのすさまじいサバイバル能力が発揮される極限の歩行体験。ヴィレッジブックス

歴史を感じ富士山最古の道を歩く

『富士山村山古道を歩く』
畠堀操八/富士山の頂上を目指すにはいくつかの登山道がある。その一番古いものが村山古道だ。もともと修験者によって開かれたが、明治時代に廃仏毀釈により廃れ、2004年に復活した。本書では登山道の復活に尽力した畠堀操八がルートと歴史、自然を解説。0mから富士山を目指すなら必読の書である。風濤社

歩きながら観察し景色を収集する

『路上と観察をめぐる表現史 考現学の「現在」』
広島市現代美術館監修/広島市現代美術館で開催された同名展覧会を一冊にまとめたもの。今和次郎は民家を歩いて回り、岡本太郎は東北に生の根源を見、赤瀬川原平は“トマソン”に、都築響一は“珍”に出会うために歩く。徒歩のスピードで、路上を見つめているからこそ見える世界がここにある。フィルムアート社

楽しく登って下りて飲む!

『久住昌之のこんどは山かい⁉ 関東編』
久住昌之著/和泉晴紀イラスト/町歩きと居酒屋の巨匠・久住昌之が、今度は山へ?とはいっても奥多摩の古道を歩き、ヤマメの刺し身とキノコ汁で一杯等々、キツいトレッキングではなく低山ハイクが中心で、一番の目的は温泉と地元の居酒屋である。ハイキング初心者でも充分に楽しめそうな一冊。山と溪谷社

地形を感じ歩く、断面的町歩き

『東京スリバチ地形散歩』
皆川典久/スリバチとは、台地に低地が谷状に切れ込み、三方向が斜面に囲まれた形状の地形になっている場所。武蔵野台地と荒川低地にまたがる東京は、稀に見るスリバチだらけの特異な土地なのだとか。このマップを手に東京の町を巡ると、地形と文化が非常に複雑な形で交わっていることがわかる。洋泉社

仏友と歩く、仏探しの歩く旅

『見仏記ガイドブック』
みうらじゅん、いとうせいこう/「見仏記」の集大成ガイドブック。いとうは京都・東寺の月光菩薩にあらぬ感情を抱き、みうらは奈良の新薬師寺の十二神将像の髪形をパンクの母型と言う。20年で訪れた寺は全国169寺。仏を目指して歩き、ウンチクよりも印象で仏愛を語る。それには仏友が欠かせないのだ。角川書店

建築という視点で町を巡る

『東京建築 みる・あるく・かたる』
倉方俊輔、甲斐みのり/建築的な視点や知識があると町中がミュージアムになる。建築史家の倉方が東京の建築をナビゲートし、文筆家の甲斐は「ピンクの建物がかわいい」と新しい視点や疑問をぶつける。普段なにげなく見ていた建物を、歴史や素材、工法などから見る、新しい建築散歩。京阪神エルマガジン社

J・J先生と一緒に町に出よう

『ぼくは散歩と雑学がすき』
植草甚一/まるで自分がNYの町を闊歩しているかのように、ブルックリン、グリニッチ・ヴィレッジなどのクラブやバーで起きること、若者文化を生き生きと伝える植草。1974年に初めてNYの町を訪れた彼はきっと我が町のように振る舞えたに違いない。好奇心さえあればその場に行かずとも散歩できる⁉晶文社

4万キロを歩いて見えたものは?

『リヤカーマン 歩いて世界4万キロ冒険記』
永瀬忠志/リヤカーに積んでいるのは食料と水、そしてテントやコンロ。永瀬は地球のさまざまな場所に行っては自力でリヤカーを引いて歩く旅を続けている。アフリカの砂漠にタイヤをとられたり、動物に襲われそうになったり、歩いている時の99%は辛いが1%の喜びの大きさのために歩くという。学習研究社

伝説の男が歩いた道を辿り直す

『California Serendipity The Thousand-Mile Summer Revisited』
Andreas M. Cohrs/アウトドア・クラシック『遊歩大全』の著者であり、伝説的なバックパッカーとして知られる、コリン・フレッチャーが1958年に初めて米西海岸を歩き、最初の著書『Thousand−Mile Summer』にまとめた1,000マイルに及ぶ道程を、半世紀を経て著者が辿り直した旅行記(洋書)。Info Verlagsges

町の息吹を感じ、歩く、食べる

『散歩のとき何か食べたくなって』
池波正太郎/池波は週に3度以上は銀座界隈で映画の試写を観て、帰りに銀座界隈や日本橋、浅草などを探索して帰るというのがお決まりのコースだったようだ。例えば、試写室から日本橋の丸善経由で、宝町のてんぷら屋〈はやし〉へ行きさっと食べて帰る。歩きながら町や店の時代の変化を肌で感じるのだ。新潮文庫

駅伝ファン必見、歩けばいいんです

『箱根駅伝を歩く』
泉麻人/自他共に認める箱根駅伝ファンである作家の泉麻人が、そのルートを歩いて制覇する。大手町から箱根の山を越えて芦ノ湖まで、全行程約108㎞。急勾配な権太坂や遊行寺、大平台のヘアピンカーブ等、スピードこそ違えどその場で見ると感動もひとしお。さらに泉ならではの“ムダ知識”も冴える一冊。平凡社

江戸の時間感覚にトリップする

『広重の東海道五十三次八十二万歩の旅』
人文社編集部/歌川広重の東海道五十三次と、現在の地図を比べて歩けるマップ。花のお江戸日本橋からスタートして、箱根の山を越えて伊豆、駿河、遠江、三河、尾張と続き、伊勢から近江で最後の力を振り絞り京の都・三条大橋へ。約492㎞を、当時の人は1日35〜36㎞ペース、約2週間で踏破したという。人文社