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海外コミックに出会うブックカフェ、大阪〈書肆喫茶mori〉。娯楽性に富んだ作品から、社会問題を扱うものまで600冊

星の数ほどある本屋。最近は様々な付加価値がついた店も続々登場。その時の気分やいろんなシチュエーションに合わせて、行き分けることこそ、真の本屋通。ここ数年で現れた新しい本屋のトレンドとともにお届けしよう。

Photo: Noriko Yoshimura / Text: Mako Yamato

海外コミックに出会うブックカフェ
書肆喫茶mori(谷六/大阪)

ルーヴル美術館が9番目の芸術として位置づけた、漫画。ルーヴルで行われた漫画の展覧会が日本で開かれた2016年に海外コミックに開眼した店主の森﨑雅世さん。「日本の作家目当てだったのですが、心惹かれたのは海外の漫画。色彩豊かで、見るだけで嬉しくなるような漫画が海外にもあるんだって」。

ビジュアルとストーリー性との融合に加え、異国のカルチャーを知ることもできるとたちまち魅了された。広く薦めたいと考えたものの「書店で探すのが意外と大変で、一冊の値段が安いわけでもない海外コミックは、手に取ってもらうのが難しい。カフェなら気軽に読んでもらえるのでは」と会社員を辞め、開業を決意した情熱の持ち主だ。

かくして2019年7月にオープンした店の主役となる本棚に並ぶのは、600冊ほどの蔵書。「フランスではバンド・デシネ、アメリカではグラフィックノベルとも呼ばれる海外コミック。娯楽性に富んだ作品から、社会問題や歴史問題を扱ったものまで揃えています。

中東やイスラムの暮らしを知ろうとしても書籍だと気軽に読めませんが、絵があると想像しやすい。シリア人の父とフランス人の母を持つ作者の自伝的コミック『未来のアラブ人』もそんな一冊です。

日本で体験できない、いろんな国の文化や習慣を知れるのも魅力ですね」。迷路のような路地奥の長屋にひっそりと佇むブックカフェは、海外コミックの奥深さを伝え、異文化への扉を開いてくれる存在だ。