ハイテク自転車〈VanMoof〉を手に入れた!乗り心地ちをレポート

「自転車界のテスラ」とは、自転車大国オランダ・アムステルダム発のハイテク自転車メーカー〈VanMoof〉のこと。業界の常識を軽やかに超えるテクノロジーとデザインを詰め込んで、「e-Bike」カテゴリの独自路線を驀進中。先日発表された最新モデル《X3》を筆者が購入。その独自っぷりをレポート。

Photo: Keisuke Fukamizu / Text: Ado Ishino

圧巻のハイスペック!
僕は新しい移動手段とバディを
手に入れた。

ついにVanMoofを手に入れた!

中目黒の自宅から五反田の事務所への通勤は毎日タクシー。飲みに行く時もタクシー。まさしくドアからドアへの日々。ある日、領収書で膨らんだ財布を眺めて、そういえばとタクシー代を計算してみた。8万円オーバー。移動しているだけで毎月8万円以上の出費なのか。具体的な数字を目の前に考える。考えているうちにCOVID−‌19が世界中を襲った。財政の見直しと感染症への不安。僕は移動手段の刷新に踏み切った。

先に結論を述べるが、VanMoofの乗り味は異次元だ。業界の常識とは別の視座を持って独自の道を歩むテクノロジーとデザイン。乗り心地の話は後述するとして、VanMoofの魅力は「購入体験」にもある、とまずはお伝えしたい。VanMoofは、既存のサイクルショップでは手に入らない。8割がなんと自社ECからの通販。残りは世界9ヵ国の直営ブランドショップを通してダイレクトに販売する仕組みだ。

かくいう自分もECサイトから購入。アクセスすると「It’s time to ride the future」のキャッチフレーズとともに萌えるモーションムービーが。そこから明快かつ端的な言葉でVanMoofのテクノロジーすべてがワンスクロールで読める。これでもう十分。車体と色を選び、オプションを確認し、お会計。以上だ。支払いが終わったらすぐに届くサンキューメール。待つこと数ヵ月。再びe-mailのメッセージ。「今送ったよ!」。うーむ、楽しみが増す。そうして自宅玄関に、段ボールに入ったVanMoofが届く。ちなみに価格は25万円。僕のタクシー代3ヵ月分で元を取れるかも♡。

ここからはお待ちかね、異次元の乗り心地の話。まずはこぎ出し。ペダルの重さを一切感じることのないスムーズさに驚く。不安定なスピード感ではなく、軽快だけどどっしりとした安心感。とにかく、ラクさが尋常ではない。気がつけばアシスト上限の24㎞/hに到達している。まさに「オートマ自転車」「自転車の自動運転」だ。嬉々として坂道に突入してみる。中目黒から代官山へ抜ける青葉台の坂道。車でさえちょっと覚悟が必要なかなりの急勾配。普通だ、普通に上ってしまった。ペダルの動きに脚を任せていれば、スピードは落ちるが上り切ってしまった。そのまま旧山手通りから富ヶ谷交差点を右へ。代々木公園を突っ切る、長くて地味にキツい上り坂も楽勝だ。写真に写る僕の口元が少しゆるんでいるのをご確認いただけるだろうか。

無駄を省きながらも
際立つフォルム。

デザインの話もしたい。この《X3》は、もともと小柄な日本人向けに投入されたモデルで、その後世界展開されたそうだ。Xを基本にしたフレームがとにかくかっこいい。無駄を省きながらも際立つ存在感。気の抜けた格好で街を流す。街ゆく人たちとチラリと視線が交わる。そのスピード感も相まってか、なんだか少し得意げになっている自分に気がついた。

これだけの圧巻スペックのハイテク自転車、心配になるのは盗難。実はVanMoofが注目を集めたきっかけは、盗難防止技術の開発だった。キーレスロックや盗難アラームの採用、たとえ盗まれてもGSM方式の電波で追跡可能という高級外車並みの盗難防止システムなど、「盗まれないスマートバイク」として知る人ぞ知るブランドとなったのだ。車体を揺らせばフレームに埋め込まれた166個のLEDがドクロを示して警報アラームが発動。アラーム音は、ヘルメットをしていても必ず耳に届く周波数で作られていて、虎のうなり声音を参考にしているのだそうだ。それでもやっぱり盗まれたらバイクハンターたちの出番。フランスで盗まれたVanMoofがモロッコで発見され、持ち主の元に戻ったという話も。

どこから眺めても「お、いいねえ」と思わせてくれるルックス。近づくとブオーンと起動して、離れるとロックがかかり、どこにいるのかアプリでわかる。街のいろいろなところにどこまでも。湧き上がる愛着。僕は新たな移動手段とバディを得た。