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ヴィンテージに関わるプロがチェックしている資料本15選

古着とは「身に着けられる歴史」だからして、ヴィンテージに関わるプロが好んで、また勉強のためにチェックしている資料本は少なくない。知る人ぞ知るスタイルの「歴史書」、その一部を紹介しよう。

photo: Yoshio Kato / text: Kosuke Ide

60年代アウトローバイカーの
貴重すぎるドキュメント

『The Bikeriders』-DANNY LYON

カウンターカルチャーを背景に社会的テーマを追うニュージャーナリズム写真家ダニー・ライオンが1960年代に北米各地に登場したバイカーギャング・チームの一つに自ら参加(!)、仲間たちの姿を生々しく捉えた伝説的なドキュメンタリー写真集の復刻版。初版は1968年。

Aperture 5,480円

FIFTH GENERAL STORE

TEL:03-6303-0465

「ポスト・パンク」時代のロンドン・ストリート

『78-87 London Youth』-DEREK RIDGERS

半世紀以上もロンドンのクラブシーンを撮り続ける写真家デレク・リジャーズが1978年(セックス・ピストルズ解散の年)以後の「ポスト・パンク」期を中心に撮影した10年間分の若者たちの写真から選んだポートレート集。コマーシャライズされた“ストリートファッション”とは異なる自由な装いはまさに創造的。

Damiani

フレンチ・ワークウェアの
すべてが詰まった決定版

『LA FRANCE TRAVAILLE』-FRANÇOIS KOLLAR

タイトルの意味は「フランスの労働者」。1931〜34年にかけて出版された15巻組みの記録写真シリーズで、炭鉱労働者、船乗り、ワイン農家などさまざまな職種の人々の姿が職業別に収録されたもの。第二次世界大戦前のワーカーたちがどんな服装で仕事をしていたかが克明に記された第一級の資料で、「その筋」の人たちの必携アイテム。

Horizons de France

どこか何かがチョット違う、
ヨーロピアンB-BOYイズム

『CAUSE WE GOT STYLE!』-ROSY ONE & DOPEPOSE POSSE

1980年代後半〜90年代前半頃の「ミドルスクール」黄金期のHIP HOPスタイル、しかし本場アメリカのそれではなく、遠く海を隔てた欧州に散らばるB-BOYたちのレアなスナップを収録した写真集。アメリカ黒人文化に憧れながらもヨーロピアンでエレガントなハイブリッドスタイルが妙にツボ。

Dokument Forlag 3,980円

FIFTH GENERAL STORE

TEL:03-6303-0465

写真史に残るポートレートはヴィンテージの一級資料

『August Sander』-AUGUST SANDER

ドイツ人写真家アウグスト・ザンダーは1910年代からライフワークとして、同時代に生きる市井の人々を職業や階級別にポートレート撮影し、1929年に写真集『時代の顔』を発表したことで世界的に知られる。その写真群はヴィンテージ関係者にとっては資料の宝庫。

Taschen America Llc 9,000円

小宮山書店

TEL:03-3291-0495

世界を股にかけて歩いたストリート写真家の名作

『SWEET LIFE』-ED VAN DER ELSKEN

こちらも写真史における重要人物の一人、オランダ人写真家エルスケンが1966年に発表した有名な写真集。60~61年にかけ、アフリカから東南アジア、香港、日本、アメリカ大陸へと向かった14ヵ月間の世界一周の旅の中で見た街や人々を捉えたもの。各国の装いの文化の違いも興味深い。

H. N. Abrams 45,000円

小宮山書店

TEL:03-3291-0495

80年代日本のアメリカン・フィフティーズ

『REVIVAL版 ハートはTEDDY』-グループ〈フルスロットル〉編

1970年代、極東日本のストリートから生まれ、80年代初頭にかけて席捲したフィフティーズ・リバイバル・ブーム。中でも全国に現れた無数の「路上で踊る」ローラー・チームの若者たちの生態を取材・撮影した生々しいドキュメントの復刻版。本場アメリカよりもチープでビザールなファッションはある意味パンク的。

第三書館

ヒッピー精神をベースにした
フリークライマーのスタイル

『YOSEMITE CLIMBER』-GEORGE MEYERS

1970年代に勃興し、世界中に爆発的に広がった「フリークライミング」の聖地ヨセミテで活躍したジム・ブリッドウェル、ジョン・ロングら伝説のクライマーたちの姿を貴重なカラー写真で収めた写真集。安全確保のための道具以外、人工物に頼らず自らの力だけで岩を登る彼らの思想とスタイルは西海岸ヒッピーカルチャーの流れを汲んでいる。

Diadem Books

働く男に必要不可欠な、道具としての衣服

『MEN AT WORK』-LEWIS W.HINE

20世紀初頭、産業化が進むアメリカの工場、工事現場で働くワーカーの姿を、当時の社会問題をテーマに調査・記録した写真家ルイス・ハインが撮影した有名な写真集の増補版。1931年に完成するエンパイア・ステート・ビルディングの建設現場で働く人々の姿にアメリカ人の「職人気質」が感じられる最後の時代の記録。

Dover

パンクな70年代オリジナル・スケートデイズ

『locals only』-HUGH HOLLAND

〈Dogtown〉や〈Z−Boys〉ら伝説のスケートボーダーチームが生まれた1970年代南カリフォルニアで、写真家ヒュー・ホランドが75〜78年の間に撮りためたスケートボードカルチャー写真集。干ばつによる水不足で空になったプールに忍び込み滑走する、パンクなスケーターたちの醸し出す雰囲気がいかにも西海岸。

AMMO

開拓時代のきこりたちを
捉えた伝説の写真師の仕事

The Locomotive Portraits』-DARIUS KINSEY

1970年代に大量のネガが発見されて話題を呼んだ、19世紀末アメリカの西部開拓時代に森林での木材の伐採や搬出風景を多く撮影した写真師ダリウス・キンゼイが捉えた記録写真を編んだもの。重いガラス乾板を森林地帯まで運び込み撮影した当時のロガーたちの姿はあまりにも貴重で、古着愛好家の間では知る人ぞ知る存在。

Black Dog & Leventhal

「身の丈」にこだわる"インディロック"の思想

『A SCENE IN BETWEEN』-SAM KNEE

1980〜88年のUKインディーズのミュージシャンたちの姿を、周辺のアマチュアが撮影したプライベートショットを中心として編んだ写真集。色落ちしたデニム、キャンバススニーカー、ネルシャツなどのいかにも学生的で素朴なファッションは90年代以後のオルタナティブ・ロックのスタイルにも影響を与えている。

Cicada Books

近代アメリカの歴史と文化を
時系列として理解する

『This Fabulous Century』

1870〜1970年の100年間のアメリカ史を、グラフ誌『LIFE』の版元タイムライフ社が編纂し、豊富な写真とテキストで解説した8巻セットの資料集。人と街、生活、ビジネス、事件、スポーツ、芸術、娯楽など、あらゆる事象がほぼ10年ごとの時系列でまとめられており、スタイルの変遷が如実にわかるのが素晴らしい。

TIME LIFE Books

アメリカン・スポーツウェアのルーツ探訪

『Sports Uniforms & Equipment』-DAN HOUSER

1840〜1940年、アメリカの近代スポーツ文化が花開いた100年間のカレッジ&プロフェッショナルチームのベースボール、フットボール、バスケットボールのユニフォーム&ギアなどのコレクション写真600点を収めた資料集。現代では生活の中のファッションとして定着したスポーツウェアの源流を見ることができる。

Schiffer

"ティーン写真家"が捉えた
ロック世代の若者たち

『ROLLING STONES FANS』-JOSEPH SZABO

ローリング・ストーンズのメンバーの写真ではなく、彼らのファンたちの姿を収めたユニークな写真集。ハイスクールで写真を教えながら、思春期のティーンエイジャーを撮り続けてきた写真家ジョセフ・スザボが、教え子たちと1978年6月17日にフィラデルフィアのJFKスタジアムで行われたストーンズコンサートに赴いた際に撮影したもの。

Damiani