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ルーツは古着。過去と現代を繋ぐ、古くて新しい下着〈オールド ホームステッダー〉

普段は服に隠れているアンダーウェアにこそ、自分だけのこだわりを追求する大人はかっこいい。そんなひそかな必需品をどう捉えているのか。アンダーウェアブランド〈Olde Homesteader〉のデザイナー・福原聡さんに話を聞いた。

photo: Kazufumi Shimoyashiki, Yoshio Kato / text: Minori Okajima

きっかけは、古着屋で出会った一枚のトランクスから

ヴィンテージライクな風貌ながら、着心地は抜群にいいアンダーウェア。一度〈オールド ホームステッダー〉のアイテムに身を包むと、やみつきに。そんな魅力がある。デザイナーの福原聡さんはどのような経緯で、ブランドを始めたのだろうか。

「僕のルーツは古着にあります。デザイナーとして新たな役目を模索していたとき、一枚のトランクスに出会ったのも、偶然訪れた古着店でした。半世紀以上も昔の古いものでしたが、とても美しく、かっこよかった。時を経ても輝き続けるプロダクトを僕も作りたいと、無我夢中で理想のトランクスを作りました。当時のパターンや縫製をそのまま真似ればいいわけじゃない。なぜなら、穿くのは今の人だから。過去に倣う半面、現代の雰囲気を掴(つか)んでいないと時代にそぐわない。その2つを繋ぐのが、デザイナーである僕の役割なんだと思います」

始動した2015年頃は下着=消耗品として捉えられていた時代。

「アンダーウェアは、古着市場で出回ってるものでも値段がつくものでもなかった。でも服と同じ価値があると確信していたんです。未開拓の山を進んでいく感覚で、登り甲斐があるぞと逆に燃えました。認知されるまで4年かかりましたが、必要な年月だったなと思います。

デザインは、僕の憧れたアーカイブからヒントをもらって、模倣するのではなく、現代にアジャストしていくんです。要素を削り出して、磨く。決して足さない。そのバランス感覚が大切なんだと思います。物が変わるのではなくて、変わっていくのは人の受け取り方。どんなにかっこいいプロダクトでも、反応してくれる人がいないと成り立たないですよね。過去への憧れと現代的な利便性、〈オールド ホームステッダー〉はその両方を併せ持っていると感じています」

〈オールド ホームステッダー〉スウェットシャツ
スエットシャツなどニットコレクションも展開。