ryuchell(タレント)
黒糖が繋ぐ、おばあの味。
あんこのある時間は特別なんです。コーヒーやお茶と一緒に食べるとほっとするし、その空間を自分だけのものにできる気がします。
僕はイメージ的にHARIBOみたいなポップな洋菓子をいただくことが多いから、差し入れでこの黒糖虎焼をもらった時は「え、バレてる!好きになりそう!」って(笑)。
黒糖といえば沖縄だし、僕のことを考えておみやげを選んでくれた気持ちが嬉しかった。あんこは優しい風味で、生地は黒糖の香りがふわっ。甘さと甘さをかけ合わせてるのにしつこくない。上品で大好きです。
沖縄では黒糖を“クルザーター”っていって、どんなお菓子にも黒糖フレーバーがあるくらい馴染み深いんです。カントリーマアムみたいにしょっちゅう食べるし、暑くて糖分とらんといけんから、運動会や遠足でも持たされる。
あと、おばあが「カメーカメー(食べて食べて)」って次々と料理を勧める“カメーカメー攻撃”(笑)がどの家庭にもあって、あんこも黒糖も絶対出てくる。
だから若い子も和菓子が大好きで、ギャルもタピオカショップよりぜんざい屋さんに集まりがち。おじいおばあの味が受け継がれてる町で育ったから、あんこや黒糖は今も身近。落ち着く存在なんだと思います。
戌井昭人(作家、劇作家)
酒の〆にもアテにもなる、蕎麦屋のぜんざい
執筆を終えた自分へのご褒美は、たいてい「蕎麦飲み」と「ぜんざい」。昼から板わさや焼き鳥を肴に、一人で酒に浸ると、締め切り前の忙しさとは対極の静寂の時間が流れます。もりそばで締めたら、今度は甘味処へ。
ぜんざいの熱々のあんこで暖を取ると、「よい休日だったなぁ」と心から思えてきます。ある時、江戸前蕎麦の御三家の一つ、〈室町砂場 赤坂店〉で白玉ぜんざいを見つけ、このご褒美が一所で楽しめると知りました。
白玉を覆うこしあんが熱を抱えるために冷めにくく、ゆっくりと味わえます。付け合わせのシソの実の塩漬けと食べれば、案外つまみにもなるから、〆のつもりが、飲み直すこともあるんです。
モリタ ナタリー(〈HOTEL DRUGS〉オーナー)
"あまじょん"好きも唸る、下町の銘菓。
まず、おもちが好きなんです。小さい頃、寝る前におばあちゃんが焼いてくれたのがルーツ。実家はビジネスホテルで一日中忙しいから、夜食だったんでしょうね。
七輪みたいなコンロを畳の上に置いて、パックの切り餅をのせて待つ。2人でこっそり食べる、そんな時間が好きでした。甘じょっぱい醤油をつけることもあって、うちではその味を“あまじょん”と呼んでました。
愛知には五平餅とかあんこバターとか、甘くてしょっぱい味が多いんです。「あんこあられ」は両国にプロレスを観に行った時に見つけました。おかきに硬めのあんこがギュッと詰まって、甘さと塩味のバランスが絶妙。あまじょん好きの夢を叶えてくれます。
枝優花(映画監督、写真家)
米粉餅にゴマ油。韓国流にあんこを楽しむ。
脚本や編集の仕上げなど、ひたすら頭を使う作業の合間に無性に食べたくなるのがあんこ。新大久保にある〈ジョンノ福餅屋〉のあん餅は、お気に入りの一つです。
韓国ではソンピョンという名前で親しまれていて、秋の収穫期のお祝いに新米を使って各家庭で手作りされる伝統的な食べ物だそう。自然な甘さの滑らかなこしあんが、米粉ならではのしっかりめのお餅に包まれていて食べ応えがあります。
表面にゴマ油が塗られているところも日本では珍しく、韓国を訪れた時に出会って、「面白い!」と惹かれました。日本でも買えるところはないかと探し当てたのがこのお店。あん餅を食べながら、ほんのり異国気分で息抜きしています。
池田尚輝(スタイリスト)
つぶあん、クリーム、サンド。好き×3のおいしさ。
あんこものは週2で食べるほど。どちらかというと食感重視派なので、つぶあんの方が好きです。それと、基本的に挟まれた食べ物に目がなくて、〈関口ベーカリー〉のあんホイップは、スイーツ+あんこと三拍子揃った大好物。
近所に住んで通っていた18年ほど前から親しんでいる味。いつもランチ用のパンを買う時に(ほかのパンもおいしいんです)、おやつ用に一緒に必ず買います。
ホイップクリームとつぶあんの濃厚なコンビネーションと、ふわふわのコッペパンの食感のコントラストがたまりません。最近知ったのですが、うちの次男はこのクリームが苦手らしくて……。これを食べない人が存在することに衝撃を受けました。