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豆選び、焙煎度合い、アレンジもさまざま。多彩なコーヒーカクテルに出会えるバー6選

ここ数年で東京にオープンした、クリエイティブなカクテルが楽しめる新鋭バーの中から、「コーヒー」をキーワードに6軒をセレクト。豆選び、焙煎度合い、アレンジもさまざま。多彩なコーヒーカクテルに出会う。

photo: Eisuke Asaoka / text: Mari Kojima

KOFFEE MAMEYA -Kakeru-(清澄白河)

バリスタの技術で魅了する、一杯の“非日常体験”

ガストロノミーのように技術を用いながら、四季折々のテーマでコーヒーを提供したい。そんな思いのもと、豆と新たな可能性の“掛け合わせ”に挑戦。豆専門店〈KOFFEE MAMEYA〉が営むカフェバーでは、コース仕立てのコーヒーやカクテルを楽しめる。

ある日のカクテル用の豆は、エチオピア産5種の中煎りブレンド。バリスタの図師聡さんいわく、「“コーヒー感”を求める方が多く、度数は全体的に控えめですが、新鮮さのある味を目指しています」。「カシオレマメヤ」は、冷たい牛乳でコーヒーを抽出しカシスをプラス。ユニークな名の「キャラメルマキアート…?」は、米焼酎にシェリーや洋梨、ヘーゼルナッツリキュール等を加え、香りと甘さでキャラメルらしさを演出した。

清澄白河〈KOFFEE MAMEYA -Kakeru-〉カシオレマメヤ、キャラメルマキアート
シグネチャーの、カシオレマメヤ1,300円(左)。洋梨やシェリーで甘さを出した、キャラメルマキアート…?1,600円(右)。

INC COCKTAILS(渋谷)

アナログの音色とともに、ほろ苦さを味わう

バックバーに並ぶ酒とレコード、大きな〈ALTEC〉のスピーカーとアンプ。コンクリートを基調にした地下に広がるフロアには、ジャズやソウルの音楽に乗せてシェイクの音がよく響く。オリジナルの「コーヒーwithジョゼッペ」は、エスプレッソリキュールにイタリアのハーブリキュールとベルモットを合わせたビターな一杯。

「コーヒーの苦味が好きなので、甘味よりもビター感が引き立つ仕上がりです」と、マネージャーの森岡賢二さん。店で扱う豆は、兵庫県苦楽園〈タオカコーヒー〉でカクテル用に焙煎したブラジル中煎り。シグネチャーのエスプレッソマティーニをはじめ、季節ごとに替わるメニューやクラシックカクテルのツイストなども揃う。

渋谷〈INC COCKTAILS〉コーヒーwithジョゼッペ
エスプレッソマティーニ1,540円(左)、カフェピスコサワー1,650円(右)。

LIQUID FACTORY(渋谷)

フレーバーや旨味を追求する、“液体の実験工場”

インダストリアルな雰囲気の店内、カウンター奥には金網で囲われたラボのような一角が。中には蒸留器をはじめとする専門器具の数々。オーナーの齋藤恵太さんは、「食材から香りや味を抽出して、リキュールなどカクテルの素材を作っています。フレッシュで濃厚なフレーバーを使うことで、唯一無二のテイストを感じられるように」と話す。

定番カクテルの一つ「シトラス&コー」は、バリスタが工房で焙煎したインドネシア産のコーヒーがベース。機材で仕込んだビターオレンジのリキュールとカフィアライムの葉を合わせ、ソーダでアップ。すっきりとした苦味の中に爽やかな甘味が浮かぶ、夏らしい一杯だ。

渋谷〈LIQUID FACTORY〉シトラス&コー
シトラス&コー1,450円。酸味ある浅煎りコーヒーに柑橘とハーブの風味がマッチ。

æ(ash)[zero-waste cafe & bar](渋谷)

サステイナブルな視点で考える、新たな一杯

2022年、SG Groupとバリスタ日本チャンピオン・石谷貴之さんがタッグを組み開店。素材選びや店作りの観点から、廃棄物ゼロを目指している。カクテル「コアントローカプチーノ」には、エスプレッソ抽出時に使わず残る半分や、カフェラテで使用したスチームミルクの余剰を使用。

「コールドブリュージントニック」は、通常ジントニックで使うライムの代わりに、アプリコットのピューレで酸味を加える。豆は石谷さんが配合比を決めたブレンドで、浅煎りは〈Leaves Coffee Roasters〉、深煎りは〈OBSCURA COFFEE ROASTERS〉に焙煎を依頼。バリスタの滑川裕大さんいわく、「安定感のあるブレンドの味を、新鮮な飲み方で楽しんで」。

渋谷〈æ(ash)[zero-waste cafe & bar]〉コアントローカプチーノ、コールドブリュージントニック
コアントローカプチーノ(左)と、コールドブリュージントニック(右)。共に1,430円。オレンジの風味がエスプレッソと好相性。

Sputnik(代官山)

昼夜で境目のない、街のスタンディングバー

「どの時間帯でも、自由にコーヒーやお酒を楽しんでもらえるように。一日の中で、何度でも“通える”店であることを意識しています」と、バーテンダーの板橋凛さん。欧風のスタンディングカウンターから提供されるオリジナルカクテルは、イタリア語で黒を意味する“ネロ”とつけられた「ネロ コレット」。

水出しコーヒーには、経堂のロースタリーカフェ〈Raw SugarRoast〉の中煎りを使用し、シャルドネ100%のグラッパとトニックウォーターをミックス。仕上げにコーヒーの苦味と調和するビターズをプラスし、ブドウの甘味が立つ一杯に。ほかにも、カルヴァドスとアマレットにエスプレッソを合わせた「ネロ ノルマンディ」など、味わい豊かなオリジナルが揃う。

代官山〈Sputnik〉ネロ コレット
ネロ コレット1,400円。エスプレッソとグラッパで作るカフェコレットを、トニックで軽やかにアレンジした。

COFFEE BAR CIELO(三軒茶屋)

スペシャルティコーヒーの流れを汲み、新たに出発

三軒茶屋でオーセンティックバー〈BAR CIELO〉を営む中でコーヒーに魅了され、2023年1月に同店をオープンした稗田浩之さん。「味、品質などが高い水準にある、スペシャルティコーヒーの世界。専門的で奥深く、バーとの共通点を感じました。どのコーヒーとお酒が合うか、組み合わせを考えるのが楽しいです」。

店では産地や焙煎度合いの異なる数種類のコーヒーを用意し、カクテルのレシピに応じて豆をセレクト。エスプレッソマティーニ用にと、淹れたてのエスプレッソを急冷するための氷塊の台まで自作した。「軽いテイストのピスコサワーから、重めのアイリッシュコーヒーまで。多種多様な味を楽しめますよ」。

三軒茶屋〈COFFEE BAR CIELO〉エスプレッソマティーニ、カフェピスコサワー
エスプレッソマティーニ1,540円(左)、カフェピスコサワー1,650円(右)。