中華なのにオムライス?というなかれ。北尾トロさんが隊長を務める町中華探検隊が、結成初期に掲げていた「町中華に欠かせない三メニュー」のひとつがオムライスだったのだから、突飛なセレクトではないのだ。
具は鶏肉・玉ねぎ・ピーマン、味付けは塩コショウにデルモンテのケチャップ、と極めてスタンダードながら、洋食店のものと決定的に異なるのは、中華鍋を使ってラードで炒める点か。だから、米粒の表面はツヤッツヤで、味の印象もよりパンチが効いている。
「しょっちゅう食べると飽きちゃうと思うんだけどね」と三代目店主・川瀬茂高さんは笑うけれど、これ一筋というお客さんもいるから、町の食堂的存在だった初代の頃よりも中華料理中心になった今も、品書きに名を連ねる永久定番。消えたら困る。私も。