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フードライター・小石原はるかの一皿。浅草〈中華ぼたん〉のオムライス

いつもの町の中華屋で、決まって食べる、心が落ち着くあの一皿。フードライター・小石原はるかさんに、愛する一皿への思いを綴ってもらいました。

photo: Kazuharu Igarashi / text: Haruka Koishihara

中華なのにオムライス?というなかれ。北尾トロさんが隊長を務める町中華探検隊が、結成初期に掲げていた「町中華に欠かせない三メニュー」のひとつがオムライスだったのだから、突飛なセレクトではないのだ。

具は鶏肉・玉ねぎ・ピーマン、味付けは塩コショウにデルモンテのケチャップ、と極めてスタンダードながら、洋食店のものと決定的に異なるのは、中華鍋を使ってラードで炒める点か。だから、米粒の表面はツヤッツヤで、味の印象もよりパンチが効いている。

「しょっちゅう食べると飽きちゃうと思うんだけどね」と三代目店主・川瀬茂高さんは笑うけれど、これ一筋というお客さんもいるから、町の食堂的存在だった初代の頃よりも中華料理中心になった今も、品書きに名を連ねる永久定番。消えたら困る。私も。

浅草〈中華ぼたん〉オムライス
オムライス850円。卵なしのチキンライス700円もアリ。