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歴史ある佇まいを生かした、典型的なベルリンのアルトバウの暮らし

旧西ベルリン、シェーネベルクは東西統一前からデヴィッド・ボウイやヴィム・ヴェンダースも住んでいた芸術家やクリエイターに人気のエリア。戦前から残る装飾やスタイルが再び高く評価されているこの地区のアルトバウに住むアーティストを訪ねた。

Photo: Rie Sawara-Cermann / Text: Yumiko Urae / Edit: Kazumi Yamamoto

フロアは1895年のオリジナルそのまま。L字型の150㎡の住まい。

ハンス・ペーターと和田淳子さんがこのフラットに引っ越してきたのが2011年。毎週2度、生鮮市場の出るヴィンターフェルト広場に近い便利な場所にある。

150㎡の住まいは通りに面した典型的なアルトバウのL字形。入ってすぐにレセプションルームがあり、それからベルリーナー・ツィンマー(家中で一番広く、中庭に面した部屋のことをそう呼ぶ)奥にバスルームとキッチンが縦長に延びる。昔はメイド用の部屋もあって、キッチンにはもう一つドアがあり勝手口として使用されていた。

「このエリアは壁が崩壊する前の40年前から人気がある。西ベルリン時代の修復はオリジナルに沿ったものが多く、ウチのオークのフロアだって1895年のオリジナルで状態もすごくいいんだ。

ただ、昔はセラミック製の石炭暖房だったけれど、今はセントラルヒーティングに変わった。おかげで冬も暖かなのは嬉しい限り」とハンス・ペーター。ドアや窓も昔のままの状態が残っていることも、この物件を選んだ理由の一つだ。

一年中、展示やパフォーマンスで移動が多い2人だが、淳子さんは時間があると自分が納得いく服を作るために部屋にこもり、ドレスメイキングに没頭するそうだ。ハンス・ペーターは、スピーカーを使った音の作品を数多く手がけている。ゆえに、仕事部屋の本棚にはスピーカーがズラリ。ユニークなインテリアとなっている。

白を基調とした食器が多く、キッチンもすっきり。それゆえ、部屋や廊下、家中に飾られた友人アーティストの繊細な作品に自然と目が行く。