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天井高はなんと4m。アート作品とアンティークが映えるベルリンの家

旧西ベルリン、シェーネベルクは東西統一前からデヴィッド・ボウイやヴィム・ヴェンダースも住んでいた芸術家やクリエイターに人気のエリア。戦前から残る装飾やスタイルが再び高く評価されているこの地区のアルトバウに住むアーティストを訪ねた。

Photo: Rie Sawara-Cermann / Text: Yumiko Urae / Edit: Kazumi Yamamoto

ベルリンのアルトバウに住むアーティスト。2人のクリエイションのための家

ビルギットとベルンハルトはベルリン美術大学に入学するために、それぞれ、南ドイツと北ドイツからやってきて知り会い、夫婦となったアーティストカップル。このフラットとの出会いは1998年。2人の娘さんが幼稚園に通っていた頃、お母さん仲間から紹介してもらった物件だそうで、一目で気に入り、以来、ずっとここに暮らしている。

アルトバウは大体5階建てで1階は店舗であることが多く、2階以上が住宅となる。もともと中産階級の人たちが暮らすケースが多かったそうで、中庭を通って建物の奥に行くほど、労働者階級や職人などの仕事場や住居だった。

中庭に面した窓のある部屋ベルリーナー・ツィンマー
中庭に面した窓のある部屋のことを「ベルリーナー・ツィンマー」と呼び、フラットで最も広く、昔からゲストのおもてなしの空間として使われている。

ビルギットのアトリエとしても使われるこのフラットが造られたのは1902年。広さは204㎡もあり、階が下にいくほど天井が高く、彼らの2階の部屋は天井高がなんと4m!建設された当時は職業を持つ女性が集まって暮らしていた部屋で、戦後70年代は学生がシェアしていたそうだ。

「私たちが入居する前は壁がブルーだったのよ!」とビルギット。自分たちの作品も飾りたいので、ニュートラルな色を、ということで、壁を白に塗り直した。また、アトリエとリビングの間にあった壁をとっぱらい、さらに広い空間を作り出した。

ベルンハルトは器用で、ちょっとした棚や家具などは自分で作るので、広いフラットのところどころに手作りの温かみが感じられる。大きなダイニングテーブルは近くのカフェでいらなくなったものをもらってきた。2人ともアンティークが好きで、時代を超えた繊細な食器や家具が並んでいる。

ベルンハルトのアートとビルギットのアトリエ。
手前の部屋の窓際のアートはベルンハルトの作品。重油を紙にペイントし、自然と浮き出た油がうっすらと輪郭になっている。扉の向こう側がビルギットのアトリエ。

自身のアート作品はモダンでありながら音楽はクラシックが専門というビルギット。作品作り以外にピアノのレッスンや、集合住宅の1階で子供のためのアートスクールも22年間運営している。

娘たちが巣立った後、子供部屋は留学生に開放。年に1度はハノーバーの学生のためにベルリンのアートツアーを企画し、このフラットにも呼んでパーティをしているそうだ。社交的な2人の家は若いクリエイターのインスピレーションにも役立っている。