わずか9坪の店で魅了する、
奥深きセレクトショップ
服と雑貨の業界で卸業を経験した芹澤伸介さんが2017年に〈ウィークエンダーショップ〉を始めた場所は、東京の下町、蔵前。
「隅田川や親しみのある商店街の雰囲気がすごく好きなんです。9坪と限られたスペースですが、ものは考えよう。ストックルームというコンセプトにすれば、逆に格好いいって思ったんです。海外のスーパーにあるようなステンレス製の棚を置いたり、あえて段ボールも隠さず、見せる倉庫って感じで店作りをしています」
お客さんはベーシックでトレンドに左右されない、長く着られる服を求める人が多いという。また、通常の都内セレクトショップではMやLサイズから売れていくのに対し、ここではSサイズから売れたり、シルエットもワイドよりスタンダードなシルエットに人気が集まったり、独特な売れ方が面白い。
「私自身が卸業を長くやっていたこともあって、ショップ経験者の洋服屋さんとは、買い付けるブランドもアイテムもだいぶ違うと思いますね。買い付けるブランドはどこもデザイナーの人柄やもの作りの背景を重視しますし、素材使いなども特徴ある服ばかりですね。
だからこそ自分のポリシーとして、接客でものの良さはお伝えしますが、スタイリングの提案はあまりしないんです。商品の魅力を知って、納得して買ってほしいんです」。
胸を張って進める主力取り扱いブランドは京都の〈ミッタン〉。長く着られる服を、丁寧に説明しながら売っている。そうやって毎シーズンほぼSALEをやらずに商品を消化するというから、店と客の理想のあり方が見て取れる。