孤独になれない時代に極限の“独り”を疑似体験
アメリカのデス・ヴァレー国立公園で、観光客のいない奥地に行ったことがあります。片道5時間車で走っても、誰ともすれ違わない。夕方頃に着いた目的地は広大な砂漠で、見渡す限り独りきり。孤独すぎて恐怖のあまり、写真だけ撮りまくって、すぐ引き返しました。
昔から独りでいるのが好きで、キャンプや旅をしてきましたけど、“すごい独り”はやっぱり怖い。『イントゥ・ザ・ワイルド』の主人公は独りきりで、2年かけてアラスカまで冒険し、引き返せないところまで来て、孤独に死んでしまう。雄大な自然の映像美と、“すごい独り”の恐怖の対比が強烈です。

何一つ不自由のない青年が、すべてを捨て、荒野で死ぬまでの冒険を描いた実話ベースの作品。'07米/監督:ショーン・ペン/出演:エミール・ハーシュほか/ハピネット/DVD品切れ。INTO THE WILD, Emile Hirsch, 2007, (c)Paramount Vantage/courtesy Everett Collection (Photo by Everett Collection/AFLO)[2376]
私は寒い地域が好きみたいで、『極限の民族』のカナダ・エスキモー(現在の呼称はイヌイット)のエピソードも忘れがたいですね。動物の腸をうどんみたいにすする描写が衝撃的で、自分はジャーナリスト的な写真家にはなれないなと思いました(笑)。

ベトナム戦争のルポルタージュで有名な著者が、自身の手法を確立し、注目を浴びる契機となった3作を収録。現地の民族と寝食をともにし、人類の多様性を克明に綴った。著:本多勝一/朝日新聞出版/品切れ。