かつての好奇心を刺激するディープな未知と対面
幼い頃に憧れていたのは、“知らない世界を見る”という純粋な冒険。紀行番組を観ては、アフリカや南米の大地、独自の暮らしを営む少数民族に思いを馳せていました。しかし成長とともに興味はアメリカの刺激的なカルチャーへ。
音楽やファッションに目移りしていた20歳の頃、偶然観てかつての好奇心を呼び覚まされたのが映画『裸のジャングル』です。アフリカの平原で、主人公が先住民と決死の追いかけっこを繰り広げる物語で、象のお腹に入って肉を貪(むさぼ)ったり、人を串刺しにして処刑したりなど衝撃的な場面の連続。B級感満載ながら、子供の頃に想像した“未知”が詰まっています。

アフリカ先住民の怒りを買った主人公の逃走劇。'65米/監督・出演:コーネル・ワイルド/NBCユニバーサル・エンターテイメント/1,572円(DVD)。
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また、『幸福になるメキシコ』も同様。水木しげるさんが旅の随所で興奮していて、道中で仮面に惹かれて何十個も買うところは傑作(笑)。客観的な評価なんて構わず子供のように自分本位に楽しむさまに、一緒になってワクワクします。

当時74歳の水木しげるがノンフィクション作家と巡ったメキシコ旅の記録。現地で購入した仮面コレクションがカラー写真で並ぶほか、描き下ろしコミックも収録。
文:大泉実成/絵:水木しげる/祥伝社/品切れ。