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語る

私が好きな冒険の本と映像。クリエイティブディレクター・ルーカスB.B.

五感を解き放つ大自然へ、たった一人で孤独と向き合う旅へ、世界の裏側にあるリアルを求めて……。人はなぜ、冒険に惹かれるのか。その答えを求めて、冒険好きのルーカスB.B.さんに、一番好きな冒険作品を教えてもらいました。観るだけで、読むだけで、心沸き立つ作品。あなたの常識を覆してくれる冒険作品がここに!

illustration: Ryo Ishibashi / text: Saki Miyahara / edit: Emi Fukushima

学び、考えることを通じて自分なりの思考を構築する

刺激を受けたり、自分なりに考えたりすることで思考を構築していくことこそが冒険だと思います。『歩いて見た世界』には、監督のヘルツォークとチャトウィンの友情や、歩くことの意味が描かれています。

僕が提唱している「トレイルラーニング」という言葉も、同じ考えに通じていると感じました。歩くことで気づきや学びがあり、その土地や自分自身を知ることができる。ヘルツォークも、チャトウィンも、歩くことそのものが学びであり、冒険であることを知っていたのでしょう。

映画『歩いて見た世界 ブルース・チャトウィンの足跡』
©SIDEWAYS FILM
『歩いて見た世界 ブルース・チャトウィンの足跡』
作家のブルース・チャトウィンがかつて歩いた道を監督が辿り、その生涯を綴る。'19英=スコットランド=仏/監督:ヴェルナー・ヘルツォーク/サニーフィルム/Prime Videoで配信中。

『宇宙船地球号 操縦マニュアル』は、今こそ読み返すべき一冊。1969年に書かれたとは思えないほど現代に響く内容で、「隔たりを作るのではなく、地球に住む私たち全員が同じ方向を向いて歩んでいこう」と伝えています。この本は設計図であり、哲学書であり、未来へのコンパス。これから私たちが向かう「未来への冒険」のための必読書です。

『宇宙船地球号 操縦マニュアル』著:バックミンスター・フラー
『宇宙船地球号 操縦マニュアル』
地球を一隻の宇宙船だと考え、地球上の人々を乗組員と見立てた技術者による著書。限りある資源の中で人類共生の必要性を説く。著:バックミンスター・フラー/訳:芹沢高志/ちくま学芸文庫/1,056円。