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映画『天使の集まる島』が公開。セリフの少ない難役に挑んだ青木 柚が感じたこと

映画『天使の集まる島』が8月29日に公開。堀井綾香監督と2度目のタッグを組み、不思議な空想旅行に出る青年を演じた主演の青木柚さんに話を聞いた。

photo: Mamiko Ando / styling: Rina Maruo / hair&make: Misachi Moto / text: Hiroko Goto

どんな作品も愛せるように活動したい

堀井綾香監督の映画『飛べない天使』の前日譚、『天使の集まる島』が公開される。青木柚は、堀井監督と2度目のタッグを組み、不思議な空想旅行に出る青年・聡太郎を演じた。

『飛べない天使』の撮影は2022年頃。「2、3年で劇的には変わらないと思いますけど、自分の体感としては“あの頃の僕が演じた聡太郎”というイメージが強かったので、演じるにあたり不安がなかったと言えば嘘になる」と明かしつつ、「堀井監督は僕自身にはわからない僕の良さを見出してくれるので、監督を信じて撮影しました」と語った。

青木 柚

「この人はこういう人だ」と決めつけない。人間の多面性を表現する面白さ

病院で闘病生活を送る青年・聡太郎の空想旅行の行き先は不思議な異国の島。撮影はマレーシアのペナン島で行われた。窮屈な生活から解放され、生き生きと冒険を楽しむ姿が描かれ、青木は役を通して、溌溂(はつらつ)さの中に漂う影や儚(はかな)さを丁寧に表現している。

青木 柚のポートレート

「ロケは楽しかったです。異国の地に降り立つシーンでは、ロケ地の市場にいる人たち全員が“今撮影をしている”と認識しているわけではないので、街の方々となるべく目が合わないようにしつつも不自然にならないように動いたり、瞬発力が必要でした」

共演した現地の俳優ジャド・ヒダーは英語、青木は日本語で会話をするという演出も、本作独自の雰囲気を作り上げている。

「最初は心配もあったんですけど、不思議と日本語だけのお芝居と変わらなかったです。気持ちを込めていれば、ちゃんとお芝居上のコミュニケーションが成立することを発見できました」

本作のように「説明セリフが少ない作品の方が好き」と言い、演じる際は役の裏側や余白を想像するという。

「堀井監督も含めて、自分を信じて難しい役を任せてくれる方々に感謝しているし、この仕事をしていなかったら、全く想像力がない人になっていた気がします。お芝居だけではなく、“この人はこういう人だ”と決めつけないように日々意識していて。そこは仕事と私生活がいい相乗効果を生んでいると思う」

10月には映画『秒速5センチメートル』が公開されるなど、映画俳優としてますます活躍の場を広げている。

「単館系の映画から始まった自分の俳優人生だし、そういう映画に自分自身も助けられながら暮らしていて。それでも挑戦できる限り一つずつ頑張りながら、どんな作品も愛せるように活動していくのが目標ですね」

『天使の集まる島』
監督・編集・プロデュース:堀井綾香/出演:青木柚、さとうほなみ、ジャド・ヒダー、福地桃子/闘病生活中の聡太郎が目を開けると、そこは異国の島。“天使”ミミを待つ男・ダニエルと出会う。8月29日、全国順次公開。
『天使の集まる島』の場面写真
©2025 「天使の集まる島」製作委員会