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〈ゲスの極み乙女〉川谷絵音のユーミンプレイリスト。“未練”と“諦め”を行き来する心情が美しく表れた曲

いわば選曲のプロであるラジオDJたちは、ユーミンの楽曲のユニークな聴きどころを知っているはず。ミュージシャン・川谷絵音さんに、オススメの3曲を選んでもらいました。

text&edit: Emi Fukushima

1.「ハートブレイク」

失恋ソングというと湿っぽくなりがちですが、松任谷さんの曲は未練と諦めが同時に表現されているのが特徴。悲しい別れを都会的で軽やかに仕上げるのは、まさに彼女の発明。僕も影響を受けています。象徴的なのが「ハートブレイク」。小気味よいサウンドに乗る“感謝して別れるのは小説だけ”という強いフレーズにドキッとします。

ハートブレイク
1983年発売の15枚目のアルバム『VOYAGER』の6曲目。強烈な未練を含んだ歌詞が、軽快なサウンドに乗せて歌われている。

2.「瞳はどしゃ降り」

「瞳はどしゃ降り」は失恋を、映画のストーリーに乗せて俯瞰的に捉えています。詞には未練があるけれど、視点に諦めが出ているのがユニークです。

瞳はどしゃ降り
1992年発売の24枚目のアルバム『TEARS AND REASONS』の3曲目。原曲は、〈A.S.A.P〉に提供した「Teardrops In The Rain」。

3.「ハートはもうつぶやかない」

そして、サビで“あなたのせい”“私のせい”を繰り返す「ハートはもうつぶやかない」は、中立的で優しい諦めが表れた曲。常にあるこの客観的な視点が、多作の中でも人々を惹きつける理由なのでしょう。

ハートはもうつぶやかない
1983年発売の14枚目のアルバム『REINCARNATION』の9曲目。心が離れてしまった関係を「ハートはつぶやかない」と表現。