韓国では…
「クラブで『SPARKLE』をかけたりすると、コール&レスポンスが起こるし、『RIDE ON TIME』ではみんな踊りまくる。ライブバージョンの『LOVELAND, ISLAND』では、最後に達郎さんがメンバー紹介するところで、真似して叫ぶ子までいるんですよ(笑)」
ソウルのホットな様子を語るのは、韓国を拠点とするミュージシャンの長谷川陽平氏。近年、DJとしても活動する中で日本の音楽に対する若者たちの熱気を目の当たりにしてきたという。
「サッカーのワールドカップの日韓共同開催を境に日本のイメージが変わったんです。学生街である弘大もキレイに区画整理されてクラブも多く誕生、日本の渋谷系のような音楽を聴く人も増えました。最近では日本からもインディーバンドが韓国にライブに来るようにもなって。若いリスナーも日本のレコードを買うようになったんです。
日本の音楽はラジオでもほとんど流れないしサブスクにも少なかった。達郎さんの中古レコードは高騰しっぱなしで、インスタで『FOR YOU』のジャケットをアップするだけですごい騒ぎになった。ある時『あまく危険な香り』の7インチを知人にプレゼントしたら“もっと持っていないのか?”と食いつかれましたよ(笑)。だからこそクラブに来る人が増えたのかもしれません。韓国でシティポップは鑑賞するだけではなく歌って踊る音楽なんです」
シティポップ好きとして知られるトラックメーカー、DJのNight Tempoの活躍もあり、年々マニアックなリスナーが増えている韓国。台湾では竹内まりや「プラスティック・ラブ」のカバーが話題になった9m88やインディーバンドの落日飛車が、インドネシアでは松原みき「真夜中のドア」をカバーしたレイニッチやイックバルが活躍中だ。
気がつけば、アジアには日本のシティポップ愛好家たちが続々と増えている。人気の秘密はウェルメイドでシンセポップ風のキラキラした音作り。だから、70年代のフォーキーなバンドサウンドではなく、岡田有希子や菊池桃子、角松敏生がプロデュースした中山美穂などアイドルへと興味が伸びている。
「韓国の若者たちは今がシティポップ第1世代。“山下達郎ってのはな……”とかゴタクを並べる上の世代がいないんです。一過性じゃなくこれからどのように受け継がれていくのか楽しみですね」
山下達郎、韓国の
クラブアンセム10選。
1:WINDY LADY
2:LOVE SPACE
3:RAINY WALK
4:RIDE ON TIME
5:LOVELAND, ISLAND
6:MUSIC BOOK
7:MAGIC WAYS
8:悲しみのJODY (She Was Crying)
9:SPARKLE
10:プラスティック・ラブ(竹内まりや)