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「愛って、遠くても細くても、かけがえのない関係」。〈loneliness books〉オーナー・潟見 陽が選ぶ、愛の映画『メアリー&マックス』

愛の映画を語る時、その人が理想とする愛の形が見えてくる。〈loneliness books〉オーナー・潟見 陽さんに聞いた、愛と映画の話。

text: Ryota Mukai

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愛って、遠くても細くても、かけがえのない関係

メルボルンの田舎に暮らす、顔にアザがあって周りに遠ざけられている少女メアリーと、アスペルガー症候群を抱えるニューヨークの中年男性マックス。それぞれが深い孤独を抱える、距離も年の差もある2人が、20年にわたって文通を続ける物語です。

友情と一言で言い切れない深い関係を描いています。日常で孤立しているのと同じように、2人が隣人同士だったなら仲良くなってはいなかったはず。遠く距離があったからこそ、この関係は深められたんだと思います。ラストに映される壁一面に貼られた手紙の数々はこの関係がかけがえのないものだったことをじんと伝えてくれる。

他人と仲を深める時に、ある場所に集って直接やりとりするのは一つの手だけど、すべてではないですよね。僕自身、そういった集まりでの近くて濃いコミュニケーションに苦手意識があって。友人には、ネットで知り合った人となんでもないやりとりを10年以上続けている人がいます。距離があって、なんならつながり自体は細くても、自分をさらけ出せる関係には愛があるし魅力的です。

また、実は本作は監督の実話がベース。彼はゲイをカミングアウトしていて、この作品の2人はクィアかどうかわからないけれども、社会に居場所を持てず孤独に生きる人々に優しく寄り添ってくれる雰囲気がある。身近に居場所がなくてもきっと救いはあるという監督からのメッセージに、温かな愛を感じるんです。

メルボルンに暮らす8歳の少女メアリーと、ニューヨークの中年男性マックスの間で20年間交わされた手紙を通して、彼らの生活とその関係性を描く。オスカー受賞監督によるクレイアニメーション。監督:アダム・エリオット/出演:トニ・コレット、フィリップ・シーモア・ホフマンほか。

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