激動の人生を歩んだアーティストに訪れた
昨夜のパーティの香りを残す、穏やかな朝
激動の時代にあっても、誰しもに「やさしいとき」は訪れているかもしれないということを感じさせるのが、アーティストの故・マーク・モリスローが23歳だった時の恋人、写真家ジャック・ピアソンとの朝の一幕を撮影した本作。
脱ぎ捨てられた、昨晩のパーティを思い起こさせるピンク色のドレスと、その上にまるでイエス・キリスト像のように腕を真っすぐ伸ばして横たわるピアソンが象徴的なワンシーンだ。傍らで猫が、ピアソンの指に留まる小鳥を狙っているのも、どこか寓話的。
性的マイノリティに対する社会の無知や偏見が強かった時代に撮られた、ひそやかで穏やかなイメージが、何度見返しても胸を打つ。
談・ミヤギフトシ