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悲しみも、喜びも、怒りも。ぜんぶ私だと肯定してくれる、谷川俊太郎の文学

私たちは日々、いろいろなやさしさ”をもらっている。心がふっと温かくなる、映画から小説、音楽、マンガ……珠玉の名作選。

text: Emi Fukushima, Daisuke Watanuki, Saki Miyahara

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文・長井短

キャパオーバーでパニックを起こし、脳が活動を停止していよいよなにもわからなくなった時「この気もちはなんだろう」という言葉が視力検査のランドルト環みたいに遠くに浮かぶ。

すぐには読めなくて、1字ずつ、丁寧に文字を追っていくと、それは私の頭の中であると同時に、谷川俊太郎の「春に」だとわかる。よろこびで、かなしみで、いらだちで、やすらぎで、あこがれで、いかり。私の体を流れる気持ち、その全部が本当で、嘘偽りない私という存在を形作っている。全部ここにあって、全部感じられている。

なぜか今、好きだと叫びたくなる。私は生きることが好きだ。谷川さんの詩は、いつもそれを思い出させてくれる。

谷川俊太郎
©つのだよしお/アフロ

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