周囲の良い面を
自然と引き出す
素直すぎる女子高生
主人公の女子高生・美津未は秀才で、性格は単純でものすごく純粋。彼女が素直すぎることで、人間関係に揺れ、葛藤する周りの人々の心の鎧が壊れ、内面にあるやさしさが引き出されていく。
キャラクターがよく描けていて、読後感が心地よいのが本作だ。そして美津未が決して美少女ではないのも特徴。画とセリフだけで表現するマンガでは、映像に比べて性格の良さを表現するのは難しいもの。
10年前の作品ならば、連載が進むにつれて彼女の見た目は洗練されていったであろう。しかし、回を経ても彼女は素朴なまま。内面だけでヒロインを魅力的に描く試みが結実していることが現代的であり、頼もしいとすら感じる。
談・佐々木敦