「非当事者」で溢れる未来に
震災の記憶を受け継ぐために
2011年の東日本大震災を機に共に活動を始めた、映像作家の小森はるかさんと画家で作家の瀬尾夏美さん。
震災後、嵩上げ工事を経て様変わりした岩手県陸前高田の「まち」を、当事者ではない4人の旅人が訪れ、瀬尾さんが2031年の陸前高田を描いた物語『二重のまち』の朗読を試みる。
当事者から話を聴き、自らが語り直す過程で、彼らは自分たちの立場と葛藤する。事実をそのまま記録するのではなく、表現を介して少し先の未来を想像することは、当事者の目の前にある痛みを引き受け、和らげようとする、やさしさでもある。
談・田中みゆき