生者も死者も変わらず包む
家族に横たわる温かな慈愛
思いがけず陽気で賑やかな「死者の国」へ迷い込んでしまったギター少年の冒険を描いた本作。死者の国で出会う先祖のことも、いまを生きる家族と同じように愛し、慈しみ合うその家族の関係性に、温かなやさしさを感じた。
私が生まれ育った沖縄では、旧盆にはお墓の前に家族が集まり、そのまま宴会になることもある。亡くなった人を賑やかに迎え入れる文化があるが、本作の考え方は、その先祖崇拝にもどこか通じる。
決裂してしまった家族の記憶をもう一度つなぐために主人公がギターで「リメンバー・ミー」を奏でるシーンは圧巻。
談・ミヤギフトシ