人ならざる存在が持つ
まっすぐな友愛と
複雑で豊かな「人間性」
やさしさは、人間だけが持つものではない。むしろ、人間ではないものの中にこそ存在するのでは。そう思わされるのが、“人工親友”として売買されるAIロボットのクララと病弱な少女、ジョジーの交流を描いた本作だ。
感情に流され、時に落ち込み、わがままを言うジョジーやその母親らとは対照的に、相手の様子を窺い、時に身を引く器用さを持ちながらも、見返りを求めない愛を注ぎ続けるクララの言葉が胸を打つ。来るシンギュラリティの日、AIは、我々を凌駕する知性だけでなく、「人間性」だって持ち得るかも。そう思わされる。
談・佐々木敦