苦痛を共有し、誰かを救う
Z世代のアーティストの
勇気ある告白を歌詞に
漠然とした不安に取り憑かれたとき、Z世代の音楽家の楽曲を聴くと気持ちが楽になる。それは“かれら”がメンタルヘルスやジェンダーなどをテーマに現代社会における「軋み」や「変化への意思」をリアルな言葉と音で形にしてくれているからだと思う。
ノルウェー出身の22歳、girl in redことMarie Ulvenの楽曲「Serotonin」は、混乱した状態にある自身のコントロールをなんとか取り戻そうともがくさまを赤裸々に描いている。精神的な不調を告白するのは勇気がいること。でもそれは同じ悩みを共有する誰かを暗闇から救い出すきっかけにもなり得る。
自分自身を愛することは他人を救うことにもつながっていくのだ。
文・小田部仁