ろくでもない世界も見方次第で
素晴らしいものへと変化する
大島弓子先生の作品にはやさしさに溢れたものがいくつもあるが、これは私が初めて読んだときに泣いた思い出深い作品。
自分の居場所はどこにもないとずっと思っていた主人公が、この世界全体が自分の居場所であり遊び場なのかもと気づいた瞬間の輝きは忘れられない。混沌としていてろくでもなさそうな世界が、見方次第でガラッと変わる。
隣人の散らかった部屋を愛し、そこが突如失われてからは暗黒の思春期を過ごしたことも、彼女にとって決して無駄ではなかった。
直接的なものだけでなく、間接的に遅れて届くやさしさもあるのだから人生焦る必要はない。それを伝えたくて毎年大学の授業で取り上げています。
談・トミヤマユキコ