理由は知らない、聞かない
でもここにいていい
おいしいおにぎりとともに
フィンランドの首都ヘルシンキ。サチエ(小林聡美)は小さな和食店〈かもめ食堂〉をオープンする。メインメニューはおにぎり。しかし、客は誰も来ない。極東からやってきた見知らぬ女性が作る見知らぬ食べ物に地元民は怪訝な顔をするばかり。
ある日、サチエは旅行客ミドリ(片桐はいり)、そしてマサコ(もたいまさこ)と知り合い、店を手伝ってもらうことに。何か事件が起こるでもなく、淡々と日々は流れる。
なぜ、彼女たちはここへやってきたのか、その理由は明かされないし、それをお互いに聞いたり探ったり、しゃべったりもしない。わかるのは、ここにいていいということ。おいしい食事があればいいということ。
文・辛島いづみ(ライター)