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映画『かもめ食堂』:やさしい気持ちになれる、心がふっと温かくなる珠玉の名作選 Vol.1

私たちは日々、いろいろなやさしさ”をもらっている。心がふっと温かくなる、映画から小説、音楽、マンガ……珠玉の名作選。人々の“いる”を肯定してくれる“場”の中にこそ、やすらぎや温もりがある。「やさしいとき40」の一覧はこちら

Text: Emi Fukushima, Daisuke Watanuki, Saki Miyahara

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理由は知らない、聞かない
でもここにいていい
おいしいおにぎりとともに

映画『かもめ食堂』
©かもめ商会 photo 高橋ヨーコ

フィンランドの首都ヘルシンキ。サチエ(小林聡美)は小さな和食店〈かもめ食堂〉をオープンする。メインメニューはおにぎり。しかし、客は誰も来ない。極東からやってきた見知らぬ女性が作る見知らぬ食べ物に地元民は怪訝な顔をするばかり。

ある日、サチエは旅行客ミドリ(片桐はいり)、そしてマサコ(もたいまさこ)と知り合い、店を手伝ってもらうことに。何か事件が起こるでもなく、淡々と日々は流れる。

なぜ、彼女たちはここへやってきたのか、その理由は明かされないし、それをお互いに聞いたり探ったり、しゃべったりもしない。わかるのは、ここにいていいということ。おいしい食事があればいいということ。

文・辛島いづみ(ライター)

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