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肉の旨味を持ち上げる、神戸名店のタレの妙技〈東京六甲園〉

味にうるさい関西人が太鼓判を押す名店が、満を持して東京に。陽気な店主のキャラも含めて、西からの挑戦を受けて立とう。

Photo: Hisashi Okamoto / Text: Koji Okano

東京六甲園(池尻大橋)

神戸市の東部、JR六甲道駅近くで1972年に開業した、〈焼肉 六甲園〉。庶民的なタレ焼肉で愛される名店が、2020年10月に東京初進出。本店直送のタレはそのままに、新たに銘柄牛も揃え、激戦区・三宿で焼肉ラバーに評判だ。

看板メニューは、2枚の絵付け皿に盛り込まれる六甲園盛り。表面のもみダレがなまめかしくきらめいて、食べ手を誘惑する。「稀少部位は兵庫〈太田牧場〉の但馬牛、ホルモンは兵庫〈川岸牧場〉と東京・芝浦直送の黒毛和牛を使います。またタレは母が祖母から引き継いだ、一子相伝の味です」と店主の森本浩行さん。

東京六甲園(池尻大橋)3代目・森本浩行
六甲園の3代目・森本浩行さんは生まれも育ちも神戸。

秘伝の醤油ダレがもみ込まれたミスジは、赤身の味わいが鮮やか。サガリを頬張ると、タレの塩味がサシの甘味を持ち上げる。濃厚な脂の旨味と競い合わせるべく、ホルモンには味噌のもみダレを。自家製ポン酢、醤油ダレ、青唐酢ダレなど、つけダレも多様に揃い、楽しみ方は無限に広がっていく。単品の肉も頼んで、あれこれ試したくなること必至だ。

焼肉|東京六甲園(池尻大橋) 店内
天井高で換気も行き届いた客席。