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経堂〈炭火焼肉ふちおか〉師匠ゆずりのカット技術が冴え渡る

フレンチや寿司のように、焼肉にも“名店DNA”が。師匠仕込みの技で魅するとっておきを紹介。

Photo: Kayoko Ueda / Text: Keiko Kodera

炭火焼肉ふちおか(経堂)

3年半、間近で仕事を見続けた師匠を一言で言うなら「雲の上の人」。そして、その師匠は愛弟子と働いた日々を振り返りながら「叱ろうと思っても非の打ちどころがない仕事ぶりだった」と話す。

焼肉好きが“神の技”と称賛する市ケ谷の〈炭火焼肉なかはら〉。その店主・中原健太郎さんのもとで修業を積んだ渕岡弘幸さんが、世田谷・経堂に自身の店を構えたのは4年前だ。ファミリーや学生が多い街でコース¥6,800はやや強気な価格設定にも見えたが、肉の品質を常に保持し、注文ごとに部位の持ち味を最大限に引き出すカットの技術の高さで地元のファンを着実に増やした。

経堂 焼肉 ふちおか
サーロインはカットの厚さで味わいが左右されるためミリ単位でベストを追求。

圧倒的な仕事と肉質の良さを物語るサーロインはキレとまろやかさを備えたタレと肉の繊細な脂が絡まり合い、鼻を抜ける香りに陶然とする。黒毛和牛の薄切りタンや、厚切りのシャトーブリアンは炭の香りを纏わせながら焼くことでより香ばしく。師匠が言う“真面目一徹”な性格が、進化するおいしさを生み出している。

経堂 焼肉 ふちおか
タンの薄切り¥2,640は味や食感の良い根元のみ使用している。厚切りは1週間前の要予約。