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世界のベストバーテンダーを目指して!「WORLD CLASS 2024」日本大会、決勝レポート

毎年1回、約60の国と地域から各1名の代表を選び、その全員が結集して世界No.1バーテンダーを決める。それがバーテンダー世界大会「ディアジオ ワールドクラス」だ。2024年の出場者として、日本代表を1人選出する日本大会決勝(=ジャパンファイナル)が、この7月1日、2日に東京・恵比寿で開催された。

photo: Shin-ichi Yokoyama / edit & text: BRUTUS

「ワールドクラス」という大会の意味


世界的な大手酒造カンパニー、ディアジオが開催する世界最大級のバーテンダー競技大会「ワールドクラス」。2009年に始まり、年に1度、まず国別の予選で各国代表1名を選出し、その全員を集めて、世界大会が行われる。

おいしいカクテルを作り、審査員が味わって評価する──。バーテンダーのコンペティションとなれば、まずはそんな競技が想像できるかもしれない。けれどワールドクラスにあって、味の評価はほんの一面でしかない。

課題となるスピリッツは各種のウイスキー、ジン、ウォッカ、ラム、テキーラ。これらの特徴を理解し、柔軟に使いこなし、複数の審査(=チャレンジ、と呼称される)で、さまざまなカクテルを作らねばならない。副材料もリキュール、ハーブ、スパイス、フルーツなど多岐に及び、審査によっては自分で仕込んで持ち込んだり、あるいは使える材料が直前まで明かされないものもある。

また審査は、カクテルを作りながらその説明も口頭で行う、プレゼンテーション形式。さらに作ったカクテルは、ゲストとして見守る審査員に提供する、というところまで、サービスとしての質も審査される。トラブル、ハプニング、想定外は当たり前。瞬間瞬間のアイデアや閃き、準備期間に積み重ねてきた練習が支える技術。日々の仕事や接客で得てきた経験、人間力。どれもが問われ、高いレベルで揃うことが求められる、バーテンダーとして唯一無二の大会なのである。

15年目となる世界大会は2024年9月に中国・上海で開催される。その舞台への挑戦権を手にすべく、ジャパンファイナル、つまり日本大会の決勝がこの7月に東京・恵比寿で開催された。

2日間、4種目の競技に挑むチャレンジャーたち

2024年7月1日。東京・恵比寿「BLUE NOTE PLACE」に、全国から予備審査を勝ち上がってきた10人のチャレンジャーと審査員、さらに大勢のゲストやギャラリーが揃って、いよいよジャパンファイナルがスタートした。普段はミュージシャンたちのライブが披露される会場中央のステージに、バーテンダーが競技するカウンターがセットされ、2日間にわたる大会の開幕がアナウンスされる。

大会1日目、まず最初の種目は「ネオ クラシック チャレンジ」。スコッチウイスキー2種、ジョニーウォーカーゴールドラベルリザーブとザ・シングルトン・オブ・ダフタウン12年を使って、4分間で2種類のオリジナルカクテルを作り、2人の審査員に説明しながら提供する。審査対象は、技術だけでなく、味やバランスはもちろんコンセプト、オリジナリティ、クリエイティビティといった各要素、そして審査員をゲストに見立てたホスティング力まで幅広い。

2種目目のチャレンジは「テン ボックス チャレンジ」。プレミアムジンのタンカレー ナンバーテンをベースにするのだが、問題は副材料。ステージ上にはナンバーテンにちなんで10個の黒い箱が置かれてあり、そこから1つを選んで開けたら、中に入っている材料を見て瞬時に判断し、2杯のオリジナルカクテルをその場で考え、作って提供する。箱の中身は10個すべて異なり、中をあけるまでわからない。制限時間はわずか5分間。バーテンダーとして、即興性とそれを支える技術やセンスが問われる。

後半戦は2日目に持ち越される。3つ目の種目は「リズム&スピード チャレンジ」。わずか4分間で5種類のカクテルを1杯ずつ作り、同時に提供するというもの。各選手は事前に4分間のプレイリストを作成し、その場を音楽のリズムとともに盛り上げながら、カクテルを作る。審査員と会場の空気をどれだけ巻き込めるかもカギとなるチャレンジだ。もちろん、味やバランスはしっかり評価の対象となる。

最後、4つ目の種目は「1942 オリジナル サーブ チャレンジ」。打って変わって、全体に落ち着いたラグジュアリーな気配の中でのチャレンジ。ラグジュアリーテキーラ、ドン・フリオ 1942を使って1種類、4杯のカクテルを作り、ソファに座った4人の審査員にワゴンでサービスする。優雅な空気感の演出、ゲストを楽しませるホスティング力が特に試される。審査には特別ゲストとしてEXILEパフォーマー・ÜSAさん、LUNA SEAギタリスト・INORANさん、女優・玄理さんも参加し、ひときわ華やかなチャレンジとなった。

4つすべての種目で10人全員が試技を終えて、最終集計が進む。この時間帯にはステージのセットも一新。ソウルシンガー・Nao Yoshiokaさんによるパワフルなスペシャルライブも披露された。さらに会場内のバーでは連日、歴代の日本大会優勝者もカウンターに入り、詰めかけたギャラリーたちにカクテルを披露。この特別な日を盛り上げる。

ついに日本大会優勝バーテンダー、決定

すべての集計が行われたのち、ステージには10人のバーテンダーが再び揃い踏みした。まずは4つの各部門賞の発表だ。

それぞれの部門は順に「ネオ クラシック チャレンジ」上口 健斗さん(夜香木)、「テン ボックス チャレンジ」山﨑 創世さん(Grace Note)、「リズム&スピード チャレンジ」中村大樹さん(メズム東京)、「1942 オリジナル サーブ チャレンジ」石岡雅人さん(ブルガリ ギンザ・バー)が、それぞれ1位を獲得した。

今年はこれら4部門の勝者がすべて異なるという激戦で、参加者たちによる試技の高いレベルもうかがわせる結果となった。部門賞の表彰が続いたあとは、いよいよ総合優勝のアナウンスだ。

今年2024年のジャパンファイナル、優勝に選ばれたのは石岡雅人さんだった。部門賞としては最後の「1942 オリジナル サーブ チャレンジ」を制し、他の部門でも平均して高い評価を得ての総合優勝だ。

戦いは世界の舞台へ。日本代表は次のチャレンジに挑む

「優勝!」のコールを受け、会場にどっと拍手と歓声が響く中で、日本大会の歴代チャンピオンたちが壇上へ駆け上がり、今年のチャンピオンを囲んで祝福する。中央にはトロフィーを高く掲げる新チャンピオン。「ワールドクラス」恒例の熱いシーンだ。

一気に華やぐ会場だが、これもある意味で「ワールドクラス」の通過点にすぎない。世界大会は、約60カ国、およそ25,000人の候補者の中から、各国ファイナルを勝ち抜いてきた選手たちが集まり、たった一人のチャンピオンの座を巡って激戦を展開する。今年2024年、その世界大会すなわち「グローバルファイナル」は、上海が開催都市だ。

国内予選から世界大会まで、そのためのアイデアの模索、試行錯誤、技術の発見やレベルアップが繰り返される。“バー&カクテルの文化向上”が、このワールドクラスの真骨頂でもある。世界のステージで新たにどんな美技や美味、パフォーマンスが披露されるのか。決戦の舞台は2024年9月、上海だ。

石岡雅人さんを囲む「WORLD CLASS 2024 」歴代のチャンピオンたち
新チャンピオン、石岡雅人さんを囲む歴代のチャンピオンたち。