稀代のクリエイターにしてプロデューサー、Mrs. GREEN APPLE・大森元貴の脳内をのぞきこめる展覧会『Wonder Museum』が開催中

東京・虎ノ門〈TOKYO NODE GALLERY A/B/C〉で開催中の展覧会『Wonder Museum』。その壮大な内容をいち早くレポート。

photo: Kazuharu Igarashi / text: BRUTUS

日本を代表するバンド、Mrs. GREEN APPLE。軽快なポップセンスと、ミュージックビデオからライブ、衣装と細部まで作り込まれた世界観がリスナーを魅了し、社会現象を巻き起こしている。

Mrs. GREEN APPLE/大森元貴(Vo/Gt)、若井滉斗(Gt)、藤澤涼架(Key)による3人組バンド。2013年結成。2015年EMI Recordsからミニアルバム『Variety』でメジャーデビュー。以来、毎年1枚のオリジナルアルバムリリースと着実なライブ活動を続け、「日本レコード大賞」等数々の音楽賞を受賞、名実ともに国民的な人気を得る。2025年はデビュー10周年イヤーで、現在、映画『MGA MAGICAL 10 YEARS ANNIVERSARY LIVE 〜FJORD〜 ON SCREEN』『MGA MAGICAL 10 YEARS DOCUMENTARY FILM 〜THE ORIGIN〜』の2作品が公開中。

現在〈TOKYO NODE GALLERY A/B/C〉で開催中の『Wonder Museum』は、ミセスの10周年イヤーを締めくくる展覧会だが、その内容は単にバンドのこれまでをアーカイブ的に振り返るものではない。

バンドのフロントマン、そしてブレーンである大森元貴の脳内を音楽、映像、オブジェ、時には香りまで、様々なメディアを用いてカタチにした展示。つまり、この「ミセス現象」をつくり上げる稀代のクリエイター/プロデューサーの頭の中で何が起きているのかを目撃できる画期的な展覧会なのだ。

『Wonder Museum』は、楽曲が生まれる瞬間を表現したインスタレーション「最初の部屋」から始まる。ゲートをくぐると、それぞれの楽曲の世界観を発展させ、趣向を凝らした展示が連なるエリアへ。

最初に目に飛び込んでくるのは、バンドが初めてダンスに挑戦した楽曲「ダンスホール」の世界観をメリーゴーラウンドで表現した「DANCE-GO-ROUND」。「RECORDING THEATER」では、SpotifyやBillboardの2025年総合チャート1位を記録するなど幅広い世代に愛される大ヒット曲「ライラック」の、新たなアレンジのレコーディング風景を楽しめる。

「QUE SERA SERA GARDEN」は、最新のテクノロジーを用いた実験的な展示だ。名曲「ケセラセラ」の音源を読み込んだAIが生成する映像を体感できる「視るケセラセラ」や、歌詞をもとに生成された香りに包まれる「香るケセラセラ」など五感に働きかける展示で、慣れ親しんだ楽曲を新鮮に、深く楽しむことができる。

QUE SERA SERA GARDEN
QUE SERA SERA GARDEN

楽曲だけでなくライブの背景にあるストーリーも、展示として再構築されている。深海の世界に潜り込む「INTO THE ATLANTIS」は、カーテンを開くと深い青に包まれて、『DOME LIVE 2023 “Atlantis”』の衣装に出会うことができるブース。

INTO THE ATLANTIS
INTO THE ATLANTIS

さらに、現在大盛況で開催中のライブツアー『DOME TOUR 2025 ”BABEL no TOH”』の物語は、プロジェクションマッピングで光が投影された飛び出す絵本として表現されている。

BABEL no TOH STATUE
BABEL no TOH STATUE

次のエリアに続く「KUSUSHIKI GATE」では、「クスシキ」のミュージックビデオの衣装が展示される。「薬」という単語の語源になったと言われる「奇(くす)し」「奇(く)しき」という言葉から生まれた楽曲タイトル「クスシキ」。楽曲のモチーフを歌詞やサウンドだけでなく、ミュージックビデオの衣装まで一貫してリスナーに届けるのがミセスのクリエイティビティだ。

KUSUSHIKI GATE
KUSUSHIKI GATE

そんなミセスの創作の重要な要素の一つであるミュージックビデオに没入できるのが「IMAGINATION VOYAGE」。部屋全体に4面のプロジェクションでミュージックビデオが投影され、その世界に入り込めるシアタールームだ。


IMAGINATION VOYAGE
IMAGINATION VOYAGE

高揚感を持ちつつ、いよいよ展覧会はラストスパートへ。そこに現れるのは、大きな空間が膨大な資料で埋め尽くされた「CREATIVE HISTORY」。アルバムジャケットやミュージックビデオの制作資料、衣装、手書きの歌詞、制作中のひらめきを書き留めたメモやイラストまで、ミセスが作り上げてきた世界観をたどる貴重な資料が数百点にわたって展示されている。そして、ラストの展示「次の部屋」へ。壮大な展覧会の締めくくりに来場者が体験することとは……こちらはぜひ会場でご体験を。

展覧会や楽曲をモチーフにした『Wonder Museum』だけのオリジナルグッズを販売するショップも。
展覧会や楽曲をモチーフにした『Wonder Museum』だけのオリジナルグッズを販売するショップも。

個々の展示のクオリティや画期性はもちろんのこと、展覧会の構成自体で、ミセスの、そしてクリエイター/プロデューサー大森元貴の独自性を伝えるのが『Wonder Museum』の面白さだ。なぜ日本中の人々がミセスに夢中なのか。それは大森元貴の頭の中の引き出しが、他のどんな作り手とも違うからなのだということが五感のすべてを通して伝わってくる。ミセスの壮大なイマジネーションとエンターテインメントの源の一端に触れることができる展覧会だ。

『Wonder Museum』は2026年1月9日まで東京で開催され、その後は福岡、大阪へ巡回する。ミセスのファンはもちろんのこと、現代のすべてのクリエイター、エンターテインメントを愛する人にぜひ足を運んでほしい。

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