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週末の酒がうまい、BRUTUSの聞くレシピ Vol.39「トムヤム冷やし中華とライムサワー」

最近、周りに料理上手な友達が増えてきた。どこの料理人から教わったのか、ちょっとしたひと手間で、ゲストを喜ばせたりして、なんだか羨ましい。自慢の一品をサラッと作れるスキルがあれば、週末の酒はもっとおいしくなるはずだ。気負わず簡単に作れる、とっておきのレシピを教えてくれるのは、料理家で〈and recipe〉主宰の山田英季さん。さて、今回のメニューは……。

前回梅雨時期のタバスコ料理、ホットソースグリルドチキンとコロナビールも読む。

photo & text & recipe: Hidesue Yamada

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太陽の表面温度が上がったのかと思うほどの熱い日差しに、さすがの食いしん坊の頭も、オールオッケーとはいかず、冷たい麺を求めてしまう。

この季節は、そうめん、そば、うどん、どれも「冷やし」。そこに割って入るのが「冷やし中華」である。中華麺のツルッとした喉越しに、甘酸っぱいタレのアイツは、中華の夏を独り占めするかのように「冷やし中華はじめました」と店先に大々的に掲げられるのだ。

さて、そんな冷やし中華も、日本で作られたもの。元は中国の「涼麺」とされている。国が変われば、少しずつ、現地の舌に合わせて進化していくのが食文化の面白いところだ。

もしも僕の好きなタイ王国に、中国から涼麺が渡っていたら、どんな進化を遂げたのか。僕の予想は、「トムヤム冷やし中華」である。勝手ながら作ってみたので、レシピを紹介したいと思います。

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まずは、きゅうりを千切りにし、パクチーは食べやすい大きさに切る。タイを感じたいなら、パクチーは欠かせない。

きゅうりは最初に斜め切りにしてから、続いて細切りに。量は2人分でおよそ2分の1本程度。幅は太めでもOKだが、今回はタレとよく絡むよう千切りに。

次にタレを作る。すり鉢にピーナッツを入れてすりつぶし、トムヤムペーストと冷やし中華のタレを入れてよく混ぜる。

このタレが、我ながら最高の出来なのだ。なんなら、麺はうどんやそばでも美味しいかもしれない。

エビと中華麺を茹でて、冷水でしめる。ここで、手を抜くと味が落ちる。氷水で手が痛いと思うまで、しっかり混ぜて、そこから少しおいて、麺の芯まで冷やすのがポイントだ。

まずはお好みのエビ(剥きエビでも、殻付きでも)を入れて、お湯が再沸騰してから麺を茹でていく。茹で時間は、購入した市販の冷やし中華の説明に準ずる。

器に、麺を盛り付け、最初にタレをかける。そこへ、エビ、きゅうり、パクチーをのせて、ライムを添えれば出来上がり。

今回のトムヤム冷やし中華は、麺とタレをしっかり馴染ませたい。なので麺の上にタレをかけてから、きゅうり、パクチー、エビの具材を盛っていく。

これに合わせるのは、ライムサワー。黒糖焼酎のほのかな甘味にライムの爽やかさが加わり、トムヤムの香りをベストマッチする。暑い夏、冷たい麺は、全人類の強い味方だ。

黒糖焼酎をお好みの割合でソーダで割ったら、4分の1個分のライムを搾って完成。

トムヤム冷やし中華とライムサワー

材料(2人分)
・エビ……10尾
・パクチー……1束
・きゅうり……1/2本
・中華麺……2玉
・冷やし中華のタレ……2袋
・ピーナッツ……大さじ2
・トムヤムペースト……大さじ1
・ライム……1/4個

作り方
① きゅうりは細切りに、パクチーは食べやすい大きさに切る。
② すり鉢にピーナッツを入れてすりつぶし、トムヤムペーストと冷やし中華のタレを入れてよく混ぜる。
③ エビと中華麺を茹で、冷水でしめ、水気をよくきったら、皿に盛り付ける。
④ タレを麺にかけ、エビ、きゅうり、パクチーをのせて、ライムを添える。

ライムサワー
黒糖焼酎、ライム、氷、炭酸

《まんこい》1,800ml
今回合わせたお酒は、黒糖焼酎の《まんこい》。こちらのお酒をソーダで割って、ライムを搾る。口にすると初めにライムが爽やかに香り、後からそれに負けない黒糖焼酎の甘みが追いかけてくる。グビグビといけてしまう一杯。アルコール度数30% 価格2,790円(編集部調べ)/彌生焼酎醸造所

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