週末の酒がうまい、BRUTUSの聞くレシピ Vol.37「アサリの豆板醤炒めと紹興酒」

最近、周りに料理上手な友達が増えてきた。どこの料理人から教わったのか、ちょっとしたひと手間で、ゲストを喜ばせたりして、なんだか羨ましい。自慢の一品をサラッと作れるスキルがあれば、週末の酒はもっとおいしくなるはずだ。気負わず簡単に作れる、とっておきのレシピを教えてくれるのは、料理家で〈and recipe〉主宰の山田英季さん。さて、今回のメニューは……。前回の「アスパラのビスマルクとオレンジハイボール」も読む。

photo & text & recipe: Hidesue Yamada

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突然だが、貝が食べたい。春は貝が食べたいのだ。鮮魚コーナーに行けば、アサリやハマグリといった貝たちが並ぶ。

シンプルに酒蒸しにするのもいいが、春の肌寒い日には、少し辛めに仕上げて紹興酒とともにカラダを温め、ダラダラと夜を更かしていきたいものだ。

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まずは、にんにくとしょうがをみじん切りにする。これは中華料理の香りのベースと言ってもいいだろう。

それを、油を温めたフライパンに入れて弱火で香りを出していく。美味しそうな香りがしてきたら、豆板醤を加えて、さらに炒める。

ジャンを炒めることで、香ばしさと濃厚な味噌のうま味を足すのである。

そこへ、アサリと紹興酒を入れて蓋をし、5分ほど蒸す。

これを10分もやってしまうと、うま味の抜けたアサリは細々として、食べ応えがないし、噛めばゴムのようになる。ここだけは注意せねばならない。

今回の酒蒸しに使うのは日本酒ではなく紹興酒。そして後ほど、出来上がった料理に合わせるのも紹興酒。合わないはずがない。蒸し時間はくれぐれも“5分ほど”にとどめる。

蓋を開けて、ザクザクと大きめに切った青ねぎ、オイスターソース、しょうゆ、砂糖を入れて、混ぜながら1分ほど炒めて味をつける。

火を止めて、ごま油を回しかけ、皿に盛り付けたら、花椒をふる。

鼻先に滲む汗を感じながら、紹興酒のストレートを飲む。

貝のうま味の後に、紹興酒の原料であるもち米の力強いうま味が押し寄せる。

春はこうでないといけない。

紹興酒で蒸したアサリに合わせるのは、常温ストレートの紹興酒。豆板醤の辛さでぐいぐいと杯が進む。

アサリの豆板醤炒めと紹興酒

材料 2人分
・アサリ………………400g(砂抜きする)
・青ねぎ………………2本(斜め切り)
・にんにく……………1かけ(みじん切り)
・しょうが……………5g(みじん切り)
・サラダ油……………大さじ2
・豆板醤………………大さじ1
・紹興酒………………大さじ4
・オイスターソース…大さじ1
・しょうゆ……………大さじ1/2
・砂糖…………………小さじ1
・ごま油………………大さじ1/2
・花椒…………………少々

作り方
①フライパンにサラダ油、みじん切りにしたにんにく、しょうがを入れて、弱火で香りを出し、豆板醤を入れてさらに1分ほど炒める。
②①にアサリと紹興酒を入れ、蓋をして5分ほど蒸す。
③②に大きめに切った青ねぎ、オイスターソース、しょうゆ、砂糖を入れて、1分ほど炒める。
④火を止めて、ごま油を回しかけ、皿に盛り付けて、花椒をふる。

古越龍山陳年5年500ml
今回合わせたお酒は、常温でストレートの紹興酒。こちらの紹興酒は熟成5年の原酒を中心にブレンド、バランスの良い味わいと香りが特長。夏はオン・ザ・ロックや炭酸で割った「ドラゴンハイボール」もおすすめ。アルコール度数17% 希望小売価格1,279円/永昌源

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