時計の未来がここに。世界最大の見本市『WATCHES AND WONDERS 2025』リポート

時計界の主要プレーヤーたちがスイス・ジュネーヴで一堂に会する、世界最大の新作見本市『ウォッチズ・アンド・ワンダーズ』。2025年は、会場もさらに規模を拡大。全60ブランドがそれぞれの展示に趣向を凝らすこの時計のワンダーランドで今年はどんな新作が登場して、光を浴びたのか?

photo: BRUTUS

時計の未来を探す冒険へ

世界最大の時計見本市『ウォッチズ・アンド・ワンダーズ・ジュネーヴ』。長く続いたSIHH(ジュネーヴ・サロン)を発展させる形で、パンデミックを経て対面で第1回が開催されたのが2022年だ。

〈カルティエ〉をはじめとするリシュモングループの各メゾン、〈ロレックス〉や〈パテック フィリップ〉など数々の人気ブランドが居並ぶ会場に世界のバイヤーや関係者を集めるこの見本市では、23年から会期後半に一般開放期間を設けるようになった。もはや時計ファンなら一度は訪れるべき夢の祭典となりつつある。

こちらが『ウォッチズ・アンド・ワンダーズ』会場全体のマップ。中央入口を境界に大きく左右のゾーンに分かれて、26のメゾンが独立した大きなブースを構えた。さらに34の中小メゾンが「LA MEZZANINE」(中2階)、「CARRÉ DES HORLOGERS」(時計師の区画)、「LA PLACE」(広場)と名づけられた3つのエリアごとに集結。

どのブランドでも「これを目の当たりにできる機会はこの会場以外ではまずない」というレベルの特別な新作がズラリ。ブランド数も年ごとに増えて、今年は〈ブルガリ〉の初参加が大きな話題を呼んだ。各メゾンで、超複雑モデルだってガラス越しとはいえ間近で見放題。

注目の初参加となった〈ブルガリ〉は、自身10度目となるトゥールビヨン世界最薄記録を樹立した1.85㎜厚の「オクト フィニッシモ ウルトラ トゥールビヨン」を展示。今年を象徴する時計の一つに。

さらに新作だけでなく過去の名作モデルの数々、さらには組み立てや仕上げのデモ実演、素材やメカニズムのサンプル、キャンペーン関連のムービー上映など、展示が目白押しだ。

運営側も一般ファン増加を図っており、新たにイベント公式グッズの販売コーナーが登場したり、SNS向けの撮影スポットなどもパワーアップ。ブランドのアンバサダーやインフルエンサーの来場も増えて、会場あちこちに人だかりができていた。

さらにメイン会場外でも、音楽ライブや時計産業に関する展示などの関連イベントが開催。また独立系の小さなアトリエや職人が周辺ホテルにスペースを借りて合同の展示会を開いていたり、個性派メゾンが集ってまた別の見本市『タイム・トゥ・ウォッチズ』を開催していたりと、どれもなかなか見逃せない。

お宝を探しつつ見て回るための市内の交通も安全&便利なのが、スイスの魅力でもある。さあ来年こそ、時計の祭典を探検しよう!

会期後半、一般向けに販売された入場チケットは、昨年より2割も増えて約23,000枚。会場となったジュネーヴ空港近くの大型展示施設〈PALEXPO〉は、世界中から集まった多くの時計関係者やファンで大盛況となった。