1755年に創業して以来、一度も途切れず今日に至っているという点において、スイスでも最古の時計メゾンである。美を重んじるジュネーヴスタイルを古くから継承し、多様な複雑機構を実現できる技術力を長く研鑽してきた。その成果の一つが、2025年に発表されたスペシャルな一本である。
両面にダイヤルが備わるダブルフェイスには、実に41個もの機構が備わっている。公式アナウンスによれば、「メゾンにおいてこれまでにない最も複雑な腕時計」であるとか。
41機構の内訳は6つの計時、8つの暦表示、3つのムーンフェイズ表示、14の天体表示、5つのチャイム機能、4つのスプリットセコンド、そしてパワーリザーブ表示。その中にはダイヤルからは見えないトゥールビヨンが含まれ、チャイム機能は4つのゴングを打ち分けるウエストミンスターであり、まさに究極の複雑さを目指したとわかる。しかも、これらを統合したムーブメントCal.3655が直径36㎜、厚さ10.96㎜という常識的なサイズに収まっていることも、驚きである。
ジュネーヴの工房では、ギヨシェ彫り、多彩なエナメル技巧、ジェムセッティングなどなど、さまざまな工芸技術も培われてきた。これらメティエ・ダール(芸術的手仕事)を駆使して、毎年異なるテーマで登場する限定コレクションを待ちわびるコレクターも数多い。
時計製作と工芸の技術に、3世紀近い歴史が息づく。

「メティエ・ダール」コレクションから今年発表された一つ。12星座を手彫りギヨシェとダイヤモンドでトゥールビヨンのダイヤルに表した。写真は、さそり座。バゲットカットのサファイアが、ダイヤルの深みのあるブルーを引き立てる。
「メティエ・ダール‒12星座へ想いを馳せて‒蠍座」限定生産。径39㎜。自動巻き。18KWGケース。価格要問い合わせ。
これも新作の一つです。時を探求した世界に一つの芸術的クロック
節目の年を記念して、メゾンでは久々となる大型のクロックでも創造力を発揮した。この「ラ・ケットゥ・デュ・タン(時の探求)」はドーム、天文時計、台座から成り、最上部のドーム内では人物像が両手を広げて時刻を示す時に144種類のジェスチャーをするオートマトンが収まる。
時計部分にはさまざまな天文表示を含む23の複雑機構が備わり、オートマトンの動きに合わせ3つの曲を奏でる音楽機構も装備。これまでの歴史の、まさに集大成。


