大切なのはアイテムが持つ“重さ”。服と時計の絶妙なバランス感
「これまで洋服に全振りしていたので、時計に気を使う余力がなかった」と語るのは、メゾンからヴィンテージまで、あらゆるファッションに精通する金子恵治さん。

本格的に腕時計をするようになったのは5年前。そのきっかけとなったのが〈カルティエ〉の「タンク」だった。自身が好きなゴールドのアクセサリーと相性が良く、購入時は「一生これでいい」と思っていたという。
その後、年齢とともにシルバーへと好みは変わり、次に目をつけたのが〈ロレックス〉の「エアキング」。
「1950年代後半のモデルですけど、状態がとても良くシルバーの小物ともハマってくれる。かといってイヤらしくもないので即決でした」
決してコレクターではない。金子さんの言葉を借りるなら「いかに服の重さとバランスがとれるか」が時計選びの大事な指針。
「物理的なものではなくて、モノが辿ってきた背景の重さというのかな。それが近しいほど、全体のバランスが整うと思うんです」

そして、そのワードローブに新たに加わったのが〈カルティエ〉の「サントス」。数日前に手に入れたばかりだという。「タンク」よりも重厚感があり、より服との馴染みがいい。あえて同じ手にブレスレットを重ね着けするスタイルが印象的だ。
服だけでも、時計だけでもない。両者の重さが釣り合うとき、金子さんのスタイルは完成する。