時計とスタイル:ファッションディレクター・金子恵治のケーススタディ

シャツの袖と自然に馴染むか、リングとのバランス感は絶妙か。あるいは、腕から外したときにどのように飾るのか。どの一本を選び、どう付き合うのか、そこに“スタイル”というものが生まれるのかもしれません。ファッションディレクター・金子恵治が語る時計とスタイル論。

本記事は、BRUTUS「時計とスタイル。」(2025年11月4日発売)から特別公開中。詳しくはこちら

photo: Kenya Abe / text: Keisuke Kimura

大切なのはアイテムが持つ“重さ”。服と時計の絶妙なバランス感

「これまで洋服に全振りしていたので、時計に気を使う余力がなかった」と語るのは、メゾンからヴィンテージまで、あらゆるファッションに精通する金子恵治さん。

金子恵治
小物のカラーを統一するのも金子さん流。「エアキング」を腕に巻くときはグローブスペックスで購入した〈ゲルノット・リンドナー〉のアイウェアと〈クロムハーツ〉のペーパーチェーンブレスレット。

本格的に腕時計をするようになったのは5年前。そのきっかけとなったのが〈カルティエ〉の「タンク」だった。自身が好きなゴールドのアクセサリーと相性が良く、購入時は「一生これでいい」と思っていたという。

その後、年齢とともにシルバーへと好みは変わり、次に目をつけたのが〈ロレックス〉の「エアキング」。

「1950年代後半のモデルですけど、状態がとても良くシルバーの小物ともハマってくれる。かといってイヤらしくもないので即決でした」

決してコレクターではない。金子さんの言葉を借りるなら「いかに服の重さとバランスがとれるか」が時計選びの大事な指針。

「物理的なものではなくて、モノが辿ってきた背景の重さというのかな。それが近しいほど、全体のバランスが整うと思うんです」

腕時計の「サントス」
1973年に、ルイ カルティエ コレクションの一つとしてリリースされた腕時計の「サントス」。それと合わせるのは、同じく「サントス」という名のブレスレットで、数年前に正規店で手に入れたもの。「2つが同じ手首に巻かれていると、どちらも1.5倍増しで魅力的になるんです」

そして、そのワードローブに新たに加わったのが〈カルティエ〉の「サントス」。数日前に手に入れたばかりだという。「タンク」よりも重厚感があり、より服との馴染みがいい。あえて同じ手にブレスレットを重ね着けするスタイルが印象的だ。

服だけでも、時計だけでもない。両者の重さが釣り合うとき、金子さんのスタイルは完成する。

No.1042「時計とスタイル。」バナー
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