二つとない、はずしの存在感が自分好み
学生の頃から古着は好きでしたね。でも僕は、いわゆるヴィンテージジーンズとかスエットみたいな王道古着よりも、ちょっとズレた面白いものに興味が湧くんです。その一つがこのスタジャンですね。これは、20年ぐらい前にアメリカのブルックリンに住むアーティストの友人からプレゼントされ、大切にしてきたものです。
誰かが映画監督のジョン・ウォーターズの作品『CRY-BABY』をモチーフにオリジナルで作ったと思われる、いわゆるブート品。僕自身もジョン・ウォーターズの作品が好きだし、ファッションアイコン的存在ですが、ここまで愛情が注がれた熱狂的なアイテムには驚きしかありませんよね。
手描きのイラストを刺繍してしまうんですよ。刺繍の板を作るのにもお金がかかりますからね。究極の愛の形としてのブート。唯一の欠点は、ジョニー・デップが全然似てないところ(笑)。
今の時代、ヴィンテージ加工の技術が進化しているので古着と変わらない質感は作り出せちゃうんです。だからこそ僕には、ヴィンテージの風合いよりも、古着でしか出会えない、ほかにないデザインや間違った仕様の一着が魅力的に映るんです。