生物学の転換期に作られたジーンズが現存する喜び
実は、私がヴィンテージジーンズに目覚めた時期と、古生物学者を志した時期が同じなんです。小学6年生の時に映画『ジュラシック・パーク』が公開されて、古生物学者という職業があることを知ってしまいました。
その1年後、世間はヴィンテージブームの中、私は初めて〈リーバイス®〉501を買いました。それは新品でしたが、以来ジーンズに熱中して20歳の時に購入したのが、この50年代初期の501XX。約20年かけ、ここまで育てました。一本だけ残せと言われたらこれを選びますね。
このXXが作られた時代は、生物学では1953年にDNAの二重螺旋構造が解明された重要な時期です。そんな生物研究の大いなる転換期に作られたジーンズが、今ここに存在することが私にはとても魅力的に感じるんです。あと、年代ごとに異なるディテールや個体差など資料としての価値もあって、研究者にはたまらない面白さがあるんですよ。
ちなみに、化石の発掘作業時にもレプリカデニムを穿いていて、古き良き古生物学者の姿を体現しています。本当はヴィンテージがいいのですが、ジーンズの稀少価値を考えると、勇気が出ませんね……。