ホームタウン、岸裕真らホラー関係者が告白する、本当に怖いもの

text & edit: Koji Okano

既存のジャンルにとらわれず、怖いものを探求し続ける人々がいる。オールジャンルのホラーから、あるいは自身の研究対象から、本当に怖いものを告白。

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ジェットコースターが落下するその角度が垂直に近いのが怖い

那須ハイランドパーク ビッグバーンコースター

1979年開業の〈那須ハイランドパーク〉を代表するアトラクション。全長は約650m、最高速度は時速約90kmと高速ではないが、最初の急降下が絶叫を誘う。

スタートしてジェットコースターの車体が巻き上げられていく最中、左側に落下コースがよく見えて緊張感が高まる。高さ38mから75度で落下するファーストドロップ(最初の落下)。6両編成の最後尾に乗ると、前の車両に引っ張られて地面に叩きつけられるような感覚に陥る。その後も落下や垂直ループがあるが、それらの記憶が残らないほどの恐怖の落下だ。

少しずつ子供を消耗させる執念深さが怖い

都市伝説「ひきこさん」

過去にいじめや虐待を受け、引きこもりの末に怪物と化した少女。子供を引きずって殺してしまうという習性がある。インターネット発の都市伝説といわれる。

ひきこさんは雨の日に子供の遺体を引きずって徘徊し、新しい子供を見つけると、その子供を襲って死ぬまで引きずり回し、殺してしまうという女だ。かつていじめと虐待を受けていた少女が正体という話もあるが、その過去を踏まえても、子供を引きずり回し、その命を少しずつ削っていく、彼女の容赦のなさ、異様さは恐ろしい。

今まで体験したことのない衝撃のラストシーンが怖い

映画『サスペリアPART2』

監督:ダリオ・アルジェント/伊/1975年
連続猟奇殺人事件に巻き込まれたピアニストが、謎を解明する姿をショッキングな描写とともに描いたホラー作品。

「2なのに続編じゃない揚げ句、1より先に作られた映画」で有名なイタリアンホラー(ジャッロ)の名作。強烈な色彩と前衛的な音楽で描かれる猟奇的殺人の描写の数々ももちろんだが、観客は全員犯人を見ているという事実に足元が揺らぐようなラストの“種明かし”。某バラエティ番組の“説”同様、そこにいるのに気づいた瞬間が一番怖い!

ギターソロが怖い

「夜明けのBEAT」(フジファブリック)

作詞・作曲:志村正彦
志村が亡くなった翌年、2010年に発表の5thアルバム『MUSIC』に収録された曲。テレビ東京系ドラマ『モテキ』の主題歌にもなった。

2009年に逝去した元フロントマン志村正彦。彼が遺したデモテープを基にメンバーが完成させたこの曲。ギターソロには亡くなる直前の志村の演奏を使用。激しいギタープレーには深いディレイがかかり、遠くの世界からこちらへ響くような趣がある。聴くと切ないような怖いような表しがたい感情を呼び起こす。フジファブリックは25年からの活動休止を発表。長い青春をありがとう。