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写真家・平野太呂さん愛用のうつわ6選。ちょっと土を感じる、旅の思い出の品々

とある金曜日のお昼ちかくに、平野太呂さんのご自宅を訪ねました。撮影に出かけた先で出会って購入したという平野さんのうつわたちは、手触りの良さそうな、比較的小ぶりなものが多い。何か理由はあるのだろうか。

photo&text: BRUTUS

BRUTUS

どういうときに買いますか?どんな場所で買いますか?

平野太呂

東京で買うことはあまりなくて、撮影や取材に出かけた旅先で買うことが多いですね。旅先だから大きいサイズのものは買えなくて、これなら重ねて持って帰れるな、この分厚さなら割れないな、と安心感のあるものを選びます。持って帰りやすくて、壊れにくそうなものを。カメラも持っていますから。レコードの場合もLPは大きくて持って帰れないけど、7インチは買いますね。

BRUTUS

どんなうつわが好きですか?

平野

ちょっと土を感じるというか、たとえば裏返したときに土を感じるとか、そんなうつわが好きです。触り心地が好きとか、色味が好きとか、結構自分なりのポイントがあって。見ていると「これは自分が好きなタイプだな、嫌だなと思うところがないな」という感じで、お皿と出会うことがありますよね。

BRUTUS

記憶している中で、最初に買ったうつわは?

平野

最初に自分から「うつわが欲しいな」と思って買ったのは、このイギリスのジャンク系のプレートです。アンティークまで古くはない、1960年代くらいのものなのかな?当時、イギリスに留学していた妻を訪ねて遊びに行ったときだから、1995年くらいですかね。イギリスのアンティークマーケットで買いました。お店のかたわらに小皿が一枚500円くらいで並んでいて。レコードの7インチ的な感じで急に集めたくなって、マーケットに出している人のお店のほうにも行って、置いてあるものを買ったり。でも、ほんとにレコードのノリですね。

BRUTUS

うつわを買うときに、中に何を入れるか思い浮かべますか?

平野

僕は料理を全然作らないから、そういう頭は働いていないかもしれないですね。物として見てしまうというか。

お皿って場所を取りますよね。だからたくさんは買えない。入れ替え制というか、割れていないお皿を捨てることはないから、結構新しいものを買うときは慎重になるんです。これ買っていいのかな? って。東京だとそれで踏みとどまれるんですが、旅先だと気持ちもゆるやかになっている。旅の思い出というか、あそこで買ったなあと後から思い出すことができますよね。

〈ROUND STONE〉のボウル

2018年に取材で訪れたアイルランドで購入。アイルランドの民俗音楽に欠かせない楽器の工房に行った際に、村にあった陶器の店に立ち寄った。「日本の和食器みたいですよね。ラウンドストーンというのは場所の名前で、工房の雰囲気も良かった。店番をしていた方が『(作った本人は今はいないけど)日本人が買っていったと伝えたら、きっと喜ぶわ』と話していた記憶があります」。

〈ROUND STONE〉のお猪口

こちらも同じお店で買ったもの。青みがかった色合いがきれい。「日本酒はすこし飲めるんです。お米だし、旨味があるからおいしい。最初の一口がいちばん好きです。ここに直接そそいで、一杯だけ飲みますね」。

〈MOBLEY WORKS〉の木皿

お子さんの入学祝いにと、〈モブレーワークス〉の鰤岡力也さんにいただいたもの。余った木(チェリー)で作ってくれた。裏のイニシャルは平野さんが入れた。「くるみを布につつんで潰して絞ると油が出るから、自分でオイルフィニッシュしてねという、プレゼントが素敵だなと思って」。パンや焼き菓子など、乾きものを盛ることが多い。

〈舩木窯〉の5寸皿

編集者の岡本仁さんと雑誌の取材で島根の〈舩木窯〉を訪れた際に、販売コーナーで購入した5寸皿。デザインの違う2枚を購入。ケーキなどを食べるときに使うことが多い。

イギリスのマーケットで買った皿

「1枚2ポンド(当時の500円)くらいで買いました。レコードの7インチを買うような感覚で」。家にお客さんが来て、ケーキを食べようよ、というときなどに使います。それ以外は「最近はそんなに人気はないかもしれないです(笑)」。

〈Echo Park Pottery〉のマグカップ

ロサンゼルス在住のアーティスト、ピーター・シャイアーさんのアトリエを訪ねた際に、購入をした。のちに色違いのものを1つ買い足した。