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私の忘れたくない一行。槇原敬之、柴田聡子、塩塚モエカ、LEXが選ぶ歌詞

歌詞は、最も身近な詩だ。歌謡曲からポップス、ヒップホップのリリックまで。メロディやサウンドと一緒に楽しむものだが、言葉そのものもリズムを持っている。敢えて言葉だけを切り取って、定型詩や散文詩と同じように豊かな表現を細部まで味わいたい。


本記事も掲載されている、BRUTUS「一行だけで。」は、2024年5月15日発売です!

槇原敬之

忘れたくない一行

「義なるものの上にも不義なる者の上にも」 静かに夜は来る みんなの上に来る

矢野顕子「ごはんができたよ」(1980年)
作詞・矢野顕子

優れた歌詞はメロディ・歌声と相まった時、イマジネーションをかき立てる力があると考えています。この歌を聴く時、僕はあたかも自分が一羽のカラスになったような気持ちになります。高い鉄塔にとまり、様々な家の屋根を眺めながら、どんな人にも等しく夜が来るその事実に改めて気づかされ、不思議な感動を覚えるのです。

忘れたくない、「自身」の一行

全て自分で決めた それを忘れなければ この先も後悔はしないだろう

槇原敬之「宜候」より

柴田聡子

忘れたくない一行

腹が立つからといってもの投げるなや ものは投げたらこわれる

山本精一「もの投げるなや」(2003年)
作詞・山本精一

この一行に出会い私の人生は変わった。この一行の背後には山本さんの膨大で計り知れない時間や感覚が果てしなく控えていて、この一行に至るすべてが有ったからこの一行になったのだと思う。しかし、この一行を例えば空間として訪ねてみると、がらんとしていてなんか床が濡れてる、くらいのことしかない。これが「有る」なんだといつも感動する。

忘れたくない、「自身」の一行

ここは夢の中だから何をしてみたっていいんです

柴田聡子「雑感」より

塩塚モエカ

忘れたくない一行

ナイター ひとけのない野球場で 死んだ犬が ボール銜えて 走る

HOMMヨ「ライカ」(2014年)
作詞・ニイマリコ

初めて聴いた時、すぐに自分にとって大切な曲だとわかった。心の真ん中に漠然とある孤独を、宝石にしたみたいだったから。かつて実際に宇宙船で打ち上げられ、そのまま地球に戻ることはなかった犬・ライカが題材。聴くと目の前の景色が全部変わって、風が吹く。そこから、孤独に寄り添う小さな物語が始まる。私もこんな曲が作りたいと思った。

忘れたくない、「自身」の一行

今のあなたの夢を教えて 綻び出す世界を見つめてたその目は どんな未来を美しいと 思っているのか

羊文学「tears」より

LEX

忘れたくない一行

急に 僕は何故だかわからず泣いた

B'z「いつかのメリークリスマス」
作詞・稲葉浩志

自分は音や言葉を聴いて理由もなく涙が出る時があります。この歌詞を聞いたとき、移動中だったけど涙が止まらなくて笑。音楽は楽しむものなんで、簡単な目線で見てますね。口で思いを伝えるのが苦手なので曲を手紙のように思ったり、ライフスタイルですね。毎日聴きたくなるような曲を見つけたときの嬉しみ、最高ですよね。

忘れたくない、「自身」の一行

今日くらいはいい子でいようよ

LEX「今日くらいはいい子でいようよ」より
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