UA
佳穂ちゃんとの初対面は2016年、京都精華大学のライブイベントに参加した時だよね。共通の知り合いから紹介されて。
その時に話す時間はなかったんだけど、カナダに帰って、子供たちと佳穂ちゃんのCDを聴いてみたら、本当に素晴らしくて。毎度みんなで大合唱になる(笑)。
中村佳穂
嬉しいです、ありがとうございます。
UA
その後2019年1月に、大阪のフェスへの出演依頼が来て、佳穂ちゃんも出ていたので再会して。楽屋で会った時、思わずいつも家族と聴いている佳穂ちゃんの曲を思わず歌っちゃったりして。
当時の新作『AINOU』(18年)も素晴らしく、スタッフから佳穂ちゃんのメールアドレスを聞き、思わずファンレターを送っちゃったんだ。
中村
本当に丁寧な感想をいただき、こちらも最高の状態でお返事を書きたいと考え、いい気持ちになれそうなテラス席のお店を探していました。
UA
返事が来ないから、心配になって……。
中村
その旨、スタッフの方から連絡が来たので、三宮で一番いい感じのテラス席からメールを書いて返信したんですよ(笑)。
UA
大阪のフェスで再会した時、一緒に曲を作ってほしいとお願いしていて。同年9月に名古屋のクラブ・クアトロで佳穂ちゃんと2マンライブをやった時、『AINOU』制作に携わった荒木正比呂くんと出会い、打ち上げで延々音楽話をして。
中村
荒木さんは大自然の中にある自宅兼スタジオで、朝から晩まで音楽を制作されています。
UA
アジアの仏像のような風情で、電子音楽を作っているという(笑)。たくさんデモを聴かせていただいて、すごく刺激になりました。
中村
『Are U Romantic?』に参加すると聞き、どんな共作になるのか、本当に楽しみでした。
UA
4曲の編曲をお願いして。佳穂ちゃんから紹介され、最初から人としてのキャラクターがわかっていたので、作業は本当にスムーズでしたね。
カナダで見つけたUAの魅力とは。
中村
名古屋クアトロの楽屋で、楽曲を提供する前に、もしよければカナダのお家へ伺いたいとお伝えしました。
UA
自宅が改装中で、トレーラーハウスに住んでいたから、私の友人宅に泊まってもらって。
中村
UAさんには、私が感じたことのないパワーがあって、その源泉に触れてから曲を書きたいと思ったんです。お話を伺っている時、「トレーラーハウスってなに?」とか、自分の知らない、未経験のことばかりで。それをUAさんから教えてもらうことが、とにかく嬉しかった。
UA
私が一番好きな森へ行ったんだよね。11月くらいから雨期になるんだけど、森が一番きれいな頃で。一番いい時期に来たんじゃないかな。
中村
本当にきれいでした。楽曲って日記のようなものでもあると思っていて。日本でお会いする時以外のUAさんが少しわかった気がします。
UA
私は佳穂ちゃんと友達になれたのがすごく嬉しかったな。ファンになって、音楽に恋をして、それからまた会えた。子供たちも「佳穂ちゃん!佳穂ちゃん!」って喜んでいたし(笑)。
中村
いい体験になりました。
UA
21年は頻繁に日本へ戻っていたので、佳穂ちゃんとも何度か会って。自宅兼スタジオにもお邪魔しながら、デモを聴かせてもらったりして。
中村
カナダへ行った時は、具体的なメロディとか思いついたわけじゃなかった。ただ、シンガーの方へ曲を書き下ろすなんて、本当に初めてのことで。しかも歌い手がUAさんなんだけど……あまり力みすぎず、日々ピアノを弾いて作った曲の中から2曲のデモ音源をお送りしました。
UA
1曲目はバンド編成の元気のいい曲で、それも好きだった。その次が本当にきれいなバラードで「Honesty」の原曲。今回のEPはほかの曲がビートを効かせたダンスポップチューンだから、バラードが欲しいと思っていたから即決した。
21年の夏頃、一緒にスタジオへ入り、2日間でレコーディング。デモの冒頭にザーッという雨音が入っていて、曲の雰囲気に合っていて、素敵だったから入れたいと言ったところ……。
中村
雨音に聞こえた音って、実はハンバーグを焼く音で(笑)。私は何かしている時に曲が思い浮かぶことが多く、「Honesty」も料理をしている最中に曲が降りてきて、カカカーッと歌詞をホワイトボードに書き、キッチン横にあるアップライトピアノで弾きながら歌ったんです。
UA
危ないなぁ、火をかけたままで(笑)。
中村
IH調理器を弱にしていたんですが、大きな音が入っていましたね。食後に歌い直しましたが最初のテイクがベストだったのでお送りして。UAさんが雨音と誤解していて、かっこいいから黙ってようと思いましたが、仲良くなったのでウソをつきたくないから、正直に告白しました。
UA
「Honesty」になったのね(笑)。