仁尾の歴史と伝統に触れる、
ノスタルジックな町歩き。
浜の人影もまばらになった頃、目の前に父母ヶ浜を一望するレストランで早めの夕食をとることにする。暗くなっていく空を名残惜しく眺めながら、瀬戸内名産の海鮮や野菜をふんだんに使った料理をいただいた。宿に戻ったら、地元のスーパーで昼間に買っておいた仁尾のかまぼこをつまみに、長い夜を楽しむとするか。
そして、朝。素晴らしかった夕日のお礼も兼ねて、土地の神様にご挨拶をしようと、地元で「妙見さん」と呼ばれる妙見宮を目指す。お宮のある小高い山からは、仁尾の町と浜を眼下に見渡せる。2つの巨石に覆われた本堂の前で、自然が創り出した圧倒的な風景に手を合わせた。
山を下り、仁尾町の古い町並みを散策してみる。入り組んだ細い路地に、昔ながらの瓦屋根の民家が軒を連ね、そこかしこに江戸の面影が顔を出す。製塩業で町を発展に導いた塩田忠左衛門の元邸宅〈松賀屋〉も立派だ。町一番の富豪の屋敷は、幾度となく盗人に狙われたというのも頷ける豪邸。
長らく空き家として放置されていたが、築かれて100年を超えたいま、文化財としても価値ある建築物を未来へ残そうと、保存・修復活動が行われている。
くねくねと細い道をしらみ潰しに進むと、伝統工芸品の張り子虎を売る人形店や、昔ながらのレトロなパン屋さんも見つけられる。時が止まったかのようなノスタルジックな町並みは、目まぐるしく変わり暮れた昨日の夕日の時間をヒートダウンするかのように静まっている。
父母ヶ浜に集まった人々と高ぶる気持ちを共有し、町中で古き良き時代を訪れるような穏やかさと出会う。仁尾は、静と動の両方を同時に体験させてくれるような不思議な場所だった。
帰り道、もと来た東へと車を走らせながら、さて、今日の父母ヶ浜はどんな絶景になるのかと想像してみる。また再び、自分史上最高の夕日を更新する日を、早くも待ちわびて。
MODEL PLAN
1日目
10:30 〈田井民芸〉で張り子の絵付け体験。
13:00 〈三好うどん〉でうどんのランチ。
14:30 〈ショッピングストア今川〉でお買い物。
16:00 〈讃岐緑想〉にチェックイン。
18:00 父母ヶ浜で夕日を眺める。
19:30 〈Colors父母ヶ浜〉で夕食。
2日目
09:00 〈讃岐緑想〉で朝ご飯。
11:00 チェックアウトし、妙見宮をお参り。
12:00 仁尾の町を散策。
13:00 〈伊藤製パン所〉でパンを買う。
14:00 〈松賀屋〉 を見学。
16:00 〈たからだの里さいた〉でお土産を探す。
SPOT DATA
三好うどん
フレッシュでコシのある手打ちうどんと、揚げたての天ぷらが最高。しょうゆ¥200に、とり天¥150をトッピング。
住所:香川県三豊市高瀬町比地1583−1
TEL:090-1000-7908
営:10時~14時
休:日曜・祝日休
田井民芸
¥1,500ほどの小さなものから、子供が乗れる張り子虎まで、手作りで表情も様々。12㎝サイズの絵付け体験は1週間前までに要予約。1人¥1,870(約90分)。
住所:香川県三豊市三野町下高瀬426−6
TEL:0875-72-4978
営:9時30分~12時、13時30分~17時
休:土曜・日曜・祝日休
ショッピングストア今川
〈仁尾蒲鉾謹製店〉のかまぼこ、漁港直送の新鮮な魚介など、地のものも扱うスーパー。
住所:香川県三豊市仁尾町仁尾辛14−1
TEL:0875-82-2288
営:9時30分~20時
Colors父母ヶ浜
フレンチ出身のシェフが地産食材をアレンジ。
住所:香川県三豊市仁尾町仁尾乙271−3
TEL:0875-23-7316
営11時~14時LO、17時~20時30分LO
休:火曜・第1・第3水曜休
妙見宮
妙見山の中腹にある吉祥院の奥の院。巨石の深洞に北辰妙見大菩薩を祀る。
住所:香川県三豊市仁尾町仁尾戊1107
伊藤製パン所
昭和23(1948)年創業。ガラスケースにおばあちゃん手作りの優しい味のパンが並ぶ。月曜・木曜は菓子パン、火曜・金曜は食パン、水曜・土曜は揚げパンが出来たて。パンはすべて¥120。
住所:香川県三豊市仁尾町仁尾丁347
TEL:0875-82-2240
営:7時~18時
休:日曜休、不定休
松賀屋
敷地約2,770㎡にも及ぶ、仁尾の町並みを象徴する古民家。公開日には内部見学も可能。●香川県三豊市仁尾町仁尾丁980。詳細は、www.nio-matsugaya.comへ。
たからだの里さいた
仁尾から車で約30分の道の駅。直産コーナーは品揃え豊富。地元民もスーパー代わりに利用する。地域名産をお土産に。温泉もある。
住所:香川県三豊市財田町財田上180−6
TEL:0875-67-3883
営:8時~18時
休:月曜休(祝日は営業)