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岩手〈BOOKNERD〉アメリカの息吹が感じられる本のラインナップ

もともと異業種で働いていたものの好きが高じて店を開いたり、心から本を愛してやまない書店員がジャンルに特化した選書で勝負する店を始めたり。ここ数年、個性溢れる町の本屋が増えてきた。なかなか見つけられない貴重な古書からリトルプレス、そして店主が偏愛してやまない良書まで。

Photo: Koichi Tanoue / Text: Mako Matsuoka

BOOKNERD(盛岡/岩手)

BOOKNERD〉には、アメリカの薫りが漂う。実際、ジャック・ケルアックの『路上』の原書をはじめとするカウンターカルチャー時代の米文学や、アメリカで買い付けてきたビジュアルブック、さらは“PYNCHON”“VONNEGUT”といった作家の名前をプリントしたオリジナルTシャツまで並ぶ店内は、オープンする前にリサーチで行ったニューヨークの書店〈MAST BOOKS〉に刺激を受けたという。

「僕自身、アメリカのカルチャーにはとても影響を受けてきたので、自然とこういうラインナップになりました」と、店主の早坂大輔さんは語る。

しかし、アメリカ一辺倒の品揃えかといえば、そんなことはない。国内の文学やエッセイ、絵本やインディペンデント雑誌やZINEまで、古書・新刊合わせて500冊ほどが、自由なグルーヴ感で並ぶ。
その自由さは、文学者のエッセイ集が並ぶ棚に早坂さんが「なんか好きなんで」という料理家の小林カツ代の著作がひょっこり挟まれているあたりからも伝わってくる。

岩手 BOOKNERD 外観
オープンしたのは2017年。今では県外からもお客さんが訪れる。

紺屋町に店を構えた理由については、「近所に行きつけのコーヒー屋〈クラムボン〉があったというのが大きいですね。残念ながら亡くなってしまいましたが、店主がとてもカウンターカルチャー好きだったんです。
2つの店の行き来が生まれたらと、ここを選びました」と早坂さん。お気に入りの一冊を見つけたら、〈クラムボン〉で読むのもいいかもしれない。

岩手 BOOKNERD 店内
アメリカで買い付けてきた洋書も多数展開している。