Drink

Drink

飲む

ビール愛がスゴい町の酒屋。京都〈山岡酒店〉、川崎〈すがや〉

町で愛される酒屋の中にも、クラフトビールの愛好家が、そこここに。彼らがセレクトするビールが並ぶセラーには、醸造家やインポーターとの深いつながりあってこそ、のボトルや缶が。クラフトビールにハマった理由や品揃えの方向性について、聞いた。

初出:BRUTUS No.944「ビールについて語らせろ!」(2021年8月1日発売)

photo: Koh Akazawa, Kunihiro Fukumori / text: Emi Suzuki, Mako Yamato

山岡酒店(今出川/京都)

語る人:店主・山岡茂和

国内外320種以上の銘柄を揃え、関西で抜群の知名度を誇る

昭和初期に創業した昔ながらの風情を漂わせつつ、クラフトビール界では高い知名度を誇る。店主の山岡茂和さんは今はなき岐阜の〈博石館ビール〉に出会い、地ビールの扉が開かれたという。「2000年前後にランビックやバーレーワインを造っていた個性的なブルワリー。味わいや酔い方が、日本酒好きの自分に合って」と振り返る。

京都〈山岡酒店〉店内
世間のブームに左右されず、クラフトビール愛を貫く3代目店主の山岡茂和さん。

今となってはクラフトビール冬の時代といわれる2002年から、飲んで薦めたいものを扱うことで専門性を高めていった。現在では国内270種類、アメリカ中心の輸入ビール50種ほどを扱い、ビアスタイルも幅広い。半分は数量や季節限定という品揃えで、宝探しの感覚だ。「酸味と香りが楽しめるセゾンや人気のヘイジーIPAなど、新たな体験ができるものがオススメです」

すがや(溝の口/川崎)

語る人:店主・菅谷由芳子

町のよろず屋兼酒店は、掘り出し物の宝庫。ベルギービールを中心に、約800銘柄を扱う

昭和45(1970)年、かき氷屋として始まり、よろず屋も兼ねた酒屋に。今でも店舗面積の半分以上は食料品や日用品が占める。「ビールにハマるきっかけになったのはシメイ。修道院で造られているビールだと聞き、そんなものがこの世に存在するのかと驚いた。それからどんどんのめり込み、ベルギーの醸造所巡りもしました」と創業者の次女、菅谷由芳子さん。

神奈川〈すがや〉店内
3Lのビッグボトルをひょいと持ち上げ、抱きかかえる2代目の菅谷由芳子さん。

店の奥の棚とセラーには、ベルギーを中心にビールが所狭しと並ぶが、室温はビール向けにしっかりと温度管理されている。酵母の含有量が多く、よりおいしいという珍しいマグナム、ダブルマグナムも。「ベルギービールは歴史が古く、いろんなタイプがあるから面白い。ホップの産地でもあるため、ホップの香りをしっかりと感じられるビールほど愛しく感じます」

ビール愛がスゴい町の酒屋。中目黒〈出口屋〉、神泉〈平野屋酒店〉