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進化を続けるサウナ。東京トレンド2潮流〜ラグジュアリー個室編〜

2つのサウナシーンが今、東京で勃興している。昔ながらの銭湯をリノベーションし、サウナを充実させた「ニュー銭湯」と、プライベート空間でリッチな体験ができる「ラグジュアリー個室」だ。この記事では、最先端の「ラグジュアリー個室」2軒を紹介。「ニュー銭湯編」はこちら

photo: Jun Nakagawa / text: Ryota Mukai

ARCH(東京/神楽坂)

室温の調整は1℃単位で。
好みのスタイルでゆったり過ごす。

4階建てのビル1棟を丸ごとサウナ施設にした〈ARCH〉は2022年8月にオープンしたばかり。会員制のサウナが2つ、1階には会員でなくても楽しめるバーが。「ブティックホテルのように高級感のある空間にしたくて」とオーナーの藤永憲太郎さんが言う通り、部屋のベッドは特注で、冷蔵庫にはシャンパンが常備されている。

もちろん、サウナのこだわりも半端じゃない。「室温は80℃から100℃まで、1℃単位で調節できます。“そんな注文は受けたことがない”と業者の方にも驚かれましたね(笑)」。セルフロウリュもできるし、寝転べる造りはプライベートな空間ならでは。

さらに意外な仕掛けも。「サウナ室で音楽をかけられるようにしています。好きなものでもいいし、砂原良徳さんをはじめ音楽家が作ってくれたプレイリストもありますよ」

水風呂には夏場でも水温を10℃前後まで下げる「チラー」を導入し、ベランダは外気浴スペースのために、なんと増設したのだという。さらに年内には宿泊プランも登場予定。「黙浴の時代だからこそ、プライベートならではの密なコミュニケーションを楽しんでほしいです」

東京〈ARCH〉店内4階の部屋
最上階4階の部屋。天井のカーブが、〈アーチ〉という名称の由来になった。

THE CLASS.(東京/恵比寿)

富士山溶岩石の熱が深部に届く。
想像以上の未体験の発汗へ!

2021年にオープンした〈THE CLASS.〉は、超ハイクラスな個室サウナの一つ。オーガニック化粧品やバスローブなどのアメニティをはじめ、氷を入れてより冷たく調整もできる水風呂、どんな体勢でもぴったりフィットする高反発のサマーベッド、と確かに隅々まで整っている。

だが、一番の特徴は、“マグマスパ式”なる耳慣れないスタイルのサウナ。その肝は、富士山溶岩石だと店長の中山政志さんが教えてくれた。

「サウナ室の床や椅子の座面、サウナストーンとしても使用しています。これらを総合してマグマスパ式なんです。これが発する遠赤外線は体の奥まで熱を伝えてくれるので、深部まで温まる。さらに保水力もあるから、熱すると蒸気を発して室内を暖め続けてくれるんです。室温は約65℃ですが、湿度が60%あるので体感ではかなり暑い。今までにない発汗を体験していただけます」

富士山溶岩石の床は、ジムなど汗を流す場所での導入例も多いというから、その発汗作用は折り紙付き。さらに床に組み込まれたマグマスパ装置は特許を取得済みだが、サウナとして体験できるのは現在3ヵ所だけ。稀少な存在でもあるのだ。

東京〈THE CLASS.〉店内
1本無料で飲める水はファスティングにも有効。男女での利用不可。