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東京のスペシャルティコーヒー、新店ガイド。新宿編

2021年以降にオープンしたスペシャルティに注力するコーヒーショップ。その中でもいいバリスタやロースターがいる、新宿の3軒を紹介します。

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photo: Koh Akazawa / text: Ayano Yoshida

swamp(西新宿)

上質な音楽と、上質な豆を揃えた裏路地の小箱

店主の石川篤希さんは〈ポール・バセット新宿店〉などで本格的なバリスタの修業を積んだ経験の持ち主。コロンビアのゲイシャやブラジルのアナエロビックなどトップスペシャルティから、親しみやすいエチオピアのナチュラルやウォッシュドなど幅広いラインナップ。

抽出方法によって3台の〈マルケニッヒ〉で豆を挽き分ける。「フラットホワイト」などエスプレッソドリンクも充実。本来はホットのドリンク「ジブラルタル」を、凍らせたグラスに冷たい牛乳と濃く抽出したエスプレッソでアイスにして提供するなど、アレンジが効いたメニューも揃う。

ヴィンテージのドイツ製のターンテーブルやスピーカーから流れるレコードも印象的。豆100g 1,150円〜。

eponym coffee(西新宿五丁目)

入口は、ナチュラルとウォッシュドのエチオピアから

独学で焙煎を始めた店主の尾崎直也さんにとって、エチオピアは「こんなに華があってフルーティなコーヒーがあるの!」と感動させてくれた特別な産地。その思い入れの強さから、澄んだ味わいのウォッシュドと、発酵感を楽しめるナチュラルの2種を常にラインナップする。アフリカでエチオピアの他に1種、中南米2種、アジア1種、デカフェ1種など7種以上の豆をバランスよくストックしている実直さがこの店の特徴だ。

天井が高く開放感のある店内に、隣とのスペースが広くゆったりと座れる客席も魅力。抽出と同じくらい選曲を大事にする尾崎さんが、その時の天気や店内の雰囲気に合わせジャズやソウルレコードをかける。

自家製チーズケーキも人気。豆150g 1,400円〜。

Brewman Tokyo(南新宿)

チャンピオンだからできる“遊び”ある抽出を味わう

店主の小野光さんはオーストラリア、香港、日本でバリスタとして10年以上修業。トップバリスタが抽出技術を競う大会、ジャパンブリューワーズカップ 2022で優勝した直後、知り合いからアメリカ〈ディードリッヒ〉の焙煎機を譲り受けたことをきっかけに独立開店した。

さまざまな産地・精製方法の豆を浅煎りから深煎りまで幅広くラインナップし、味や香りに合わせて器具を替えながらドリップ。店内で飲める豆は10種類以上。一般的には中浅煎りが好まれるゲイシャを敢えて深煎りにし、ネルドリップでトロリとした滑らかな舌触りを引き出すなど、チャンピオンに輝いた経験のある小野さんだからこそできる“遊び”も魅力。豆150g 2,000円〜。

Brewman Tokyo 小野さん
「クリーンでフレーバーを明確に感じる豆を中心に揃えています」と、小野さん。
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